今の望はまともに雄介の姿なんか見ていられないのか中に入るとシャワーで体を洗い始める。
そんな望に気付いた雄介は息を吐くと浴槽へと寄り掛かかるのだった。
頭からシャワーを被る望。
望がお風呂に入ってから何故か二人の間には会話がない。
二人共、何か考えているのであろうか?
そんな中、雄介はもう一回息を吐くと、
「なぁ? 今日は和也達もいないんやし……ええやろ? それに、ココお風呂場やし、服も汚れんしな」
だが未だに頭を洗っている望からは返事がなかった。
そこに仕方ないと思ったのか雄介はまた黙ってしまう。
雄介はお風呂で浸かるのは好きだ。
狭い中でも目を瞑って天井を見上げてリラックスモードになっている。
フッと気付くとシャワーの音が止み目を瞑っていても分かる位に視界が暗くなったような気がする。そう人間とは意識がある状態で瞳を閉じると光りは感じられる。それが暗くなったのだから雄介の中でははてなマーク状態だったのかもしれない。
すると雄介の足の上に重みを感じ瞳を開けるとそこには望の姿があった。
雄介はそんな望に目を見開いていると望の両手に頰を包まれ唇を重ねられる。
「今は和也もいねぇし、確かにココなら洋服も汚れねぇから、いいんじゃねぇのか?」
少し沈黙の後、
「……へ? あ、ああ! そうやんなっ!」
と雄介は反応する。
「さっきの言葉聞いておったんか?」
「まぁ……な……」
そう答える望は見事に雄介から視線を離してしまっていた。
そんな望の行動はいつもの事だ。 そこは雄介からしてみたら気にしないという所であろう。
すると雄介は望の体を抱き締める。
「あ……ココだと……あまり動きがとれねぇけど平気なのか?」
そんな望の問いに、
「大丈夫やと思うで……このまま座ってな……」
「はぁあ!?」
今度は望が瞳を丸くする番だったらしい。こんな狭い所でも本当に出来るのであろうか? と思っているからだ。
「ま、まぁ……そこはやってみんと分からんところやけど、望がそういう気になったんやったら、別に俺は構わへんけどな」
「え? あ、ぅん……」
とりあえず望はさっきシャワーを止めて雄介の膝の上というのか正確には腿の上というのか、そこに雄介の方に向いて座っている状態だ。