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ー空間ー14

 和也がここからいなくなると、この部屋内は静かになったとつくづく思う。


 今は和也の恋人である裕実の姿もなければ望の恋人でもある雄介もいない。


 用意を終えた望は白衣を身に纏い、いつもみんなで会話をしていたソファへと腰を下ろすのだ。


 今でも、ここに座るとみんなで話をしていた事を思い出す。


 今、望が座っている場所には雄介が座っていて雄介はドアに近い所に座っていた。そして、その横には望、前には裕実、その横に和也の姿があった。


 みんな年も近いっていうだけあって、この部屋で四人が集まるとワイワイとしていたような気がする。


 今は、ただ、和也がお風呂に入ってシャワーを使っている水音しか聴こえて来ない。


 そして、そのシャワー音が止むと再びこの部屋は静かな空間へと変わる。


 和也は何故か下着だけを履いて出てきた。


「おい……和也……ちゃんと着替えて来てから出て来いよ」


 そうため息混じりで言う望。


「うん? 普通に着替え持って行くの忘れただけ……それに、いいじゃんか……。今は俺にも恋人がいる訳だし、望の事、襲うなんて一ミリも思ってないしな」


 そういう風に答える和也に再び望はため息を漏らす。


 そして二人は用意を済ませると部屋を出るのだった。

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