とりあえず今は少しでも疲れている望の体を休ませて上げようと和也はお風呂から上がったら起こそうと思う。
和也は十五分位でシャワーから上がってくると、いつも来ている制服へと着替え望の事を起こそうとする。
「望! 起きろよ! もう、朝だぞー! 眠いのは分かるけど、お前の患者さんが待ってるんだろ?」
「……ん?」
和也がそう言うと望はボッーとしながらも一言声を上げる。
まだ望は完全に目が覚めていないのであろうか。周りをキョロキョロと見渡し何かを確認しているようだ。
「あれ? 俺、ここで寝ちまったのか?」
「ああ、どうやら、そうみたいだぜ」
「あー、昨日は三時までは学会の資料とかってやってた位だしな」
そう言いながらもやはり万全な睡眠はとれていなかったのか望の頭はまだ働いて来ないようだ。
「ま、いいからさ……先ずは風呂に入ってきた方がいいんじゃねぇのか? そしたら、目が覚めるだろ?」
「あ、ああ……そうだな……」
望は和也にそう促され立ち上がるのだが、まだまだ寝足りないのかフラフラと歩き出す。
「望? 大丈夫か?」
「あ、ああ……んー……前が見えないんだけど……」
「……へ? はい? 嘘だろ?」
「嘘じゃねぇんだよ。和也、今は何処にいるんだ?」
いきなり朝から自分の目が見えない発言に流石の和也も焦り始める。
そして和也は心配そうに望の前へと立つと何か違和感があるのは気のせいであろうか。