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ー空間ー169

 確かに、望が言っていたことは白井にも伝わったようだ。


 しかし、先程、白井が操縦室に行った時に雄介の状況を見ている。そんな状況を見たら、きっと望は雄介に操縦するのを止めるだろう。だから白井は雄介の状況を望には言わなかった。


 そう、雄介は背中に大きな傷を負いながらも今は操縦桿を握っている。誰もそんな状況を見たら操縦するな! と止めるだろう。


 白井はその雄介の状況を知っているからこそ、知り合いである望のことを止めたのですが、それでも望は行こうとしています。しかし、望にもそこまで言われると、白井の方も望のことを止めることはできないようです。


「じゃあ、操縦士さん達に何かあったら、呼んでくれよ」


 望は白井にそう言うと、雄介がいるであろう操縦室の方へと向かいます。


 そして望は操縦室に入ると、雄介に声を掛けます。


「雄介っ! ここ一人で大丈夫そうなのか?」


 その望の声に雄介は体をビクリとさせます。まさか、ここに望が来るとは思っていなかったのでしょう。


「の、望……どうしてここへ?」


 雄介はそう言うと、大きなため息を一つ吐きます。


「とりあえず、隣に座っても平気か?」

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