いきなりそういう風に望に声をかけられて、雄介は首を傾げながら望の顔を見つめる。
「背中の方は痛くないのか?」
「へ? あ、ああ……背中の方な……? ホンマはめっちゃ痛いねんけど……。入院するのはもったいないって思うとったし、だってな、望と一緒に居られるのは明後日までなんやろ? それやったら入院しとる時間やっておしいやんか、せやから、入院するのは辞めておいたって訳なんや」
雄介はそう笑顔で言うのだけど、望の方は頭を抱えてまで息を吐く。
「やーっぱり……お前は正真正銘の馬鹿だなっ! 何で医者の言う事聞かねぇんだよ……そりゃ、あんだけ傷を負ってりゃあ痛いだろうよ。そんでもって、何でちゃんと治療受けて来ないんだよ!」
先程まで心配そうな表情をしていたのが嘘みたいに、表情を変えて雄介のその言葉に怒り出す望。
「しゃーないやんか……」
「仕方ないも何でも、そこ言い訳するとこじゃないからっ!」
望はその言葉に再び息を吐くと、
「……とりあえず! 明日は緊急以外は病院は休みなんだから、大人しく寝てるんだからなっ!」
そう言うと望は雄介から視線を外し、望自ら雄介の体を正面から抱き締め、瞳を閉じる。
雄介の方は望の行動に驚きながらも微笑み、望の体を何も言わずに抱きしめ返すのだ。
そして二人はそのまま夢の中へと落ちていくのだった。
次の朝、二人が目を覚ましたのは完全に日が昇って正午手前だ。
望の横手にあるカーテンの隙間から太陽が望のことを起こす。
目を擦りながら起きた望はキョロキョロと周りを見渡していると、雄介の方も目を覚ましたのか。望を見つけると笑顔になって、
「おはよー、望……」
と朝から語尾にハートマークが付きそうな勢いで朝の挨拶をしてくる雄介。
望の心の中ではきっと「朝からテンションが高い奴だなぁ」とでも思っていたのであろう。 だが望はすぐに仕事モードになってしまったのか、
「風呂はどこにあるんだ?」
そう雄介に聞いていた。
「……風呂か?」
雄介はそう言うとベッドの上で半身だけを起こして、
「下の階の階段の奥の方にあんで……なんや、朝から俺と一緒に風呂に入りた……」
そう雄介が最後まで言わないうちに望は真面目な顔をして、手で雄介の顔を押さえ、