床に落ちたお皿は音を立ててガラスの破片を撒き散らした。
幸いにも二人ともスリッパを履いていたので足の裏は怪我しなかったが、
「痛っ……」
と言いながら、望はその場に座り込んだ。
それに気づいた雄介も床に座り込むと、
「大丈夫か? ガラスの破片が足に刺さってもうたんか?」
「ああ、ちょっとな……下に落ちたガラスの破片がふくらはぎの横を掠っただけだ。それより、悪いけど、ここの掃除をしてくれねぇか? あとは自分で治療してくるからさ」
望は立ち上がろうとしたが、意外にもダメージが大きかったのか、足にまだ力が入らなかったようだ。ガラスの破片が散らばっている床に座るところだったが、ギリギリのところで雄介に助けられた。
「ホンマに大丈夫なんか?」
雄介は心配そうに望を見上げる。
「大丈夫だって……」
そう言って歩みを進めようとしたが、痛めた方の足に力を入れるとまだ少し痛いようだ。
「ちょー、まった! 動くなや……」
「はぁ!? 何言ってんだ、お前。俺の方は大丈夫だって言ってんだろうが……」
「その足でまだそういう風に言うつもりなん? ホンマ、それでも医者なんかいな」
雄介はそう言いながら望の足を指差す。
望は雄介が指差す方へと視線を移すと思っていたより傷は深いようだ。家着用として着ているグレーのスエットには血が滲んでいた。おまけに、掠ったと思われていたズボンの所は破れてしまっている。
「その足じゃあ、歩けへんやろ?」
雄介からの問いに、望は言葉を詰まらせた。