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ー決心ー58

「別に俺達が動かなくても大丈夫だったってことか……」

「ま、そういうことになるかなぁ?」

「和也も捕まっちまった訳だしさ」

「でも、君達は歩夢の為に動いてくれたんだよね? それはいいことだと私は思うよ。君と歩夢は兄弟なんだけど、まだ慣れてないのか、二人共ギクシャクとしていたしね。私の中ではせっかく兄弟がいるんだから、仲良くして欲しいと思っているんだよね」

「んー、まぁ、歩夢のことはあんま好きじゃねぇんだけど、やっぱ、兄弟だからなのかなぁ? 『助けなきゃ』とは思ったんだよな」

「そう思ってくれたんだったら、十分だよ」


 そう話が切れたところで車が止まる。


 望や雄介が周りを見ると、見慣れた景色が広がっていた。


 それは、先程望達が探していた倉庫街だった。


「ここ、さっき俺達が探していたところだよな?」

「ああ、まぁ……せやな。和也の話やと誰もいないって言うとったけど」


 望達の話に割って入ってきたのは裕二だ。


「確かに、人気が無い場所でもあるし、前に君が監禁された場所でもあるよねぇ。まぁ、見た目は人気は無いように見えるけど……」


 そう裕二は話をしながら前に歩き出し、倉庫の中へと入っていく。


 すると地下へと続く階段があり、裕二はそこを下りていった。


 地下に向かうと、倉庫内は暗いのに、その地下には明かりが灯っていた。自家発電を使っているのか、薄暗い中にも光が漏れている。


「これじゃあ、外からでは分からねぇよな」

「そういうこっちゃな」


 地下に入ると、男二人が椅子に座り、酒を飲みながら騒いでいる姿が目に入ってくる。


 裕二達と目が合うと、犯人達は慌てた様子で望達の方へ向かってきた。しかし、望達の後ろから来ていた刑事が身柄を確保し、犯人達に歩夢達の居場所を聞き出す。


 その後、男達がいた場所からさらに奥へ進むと、いくつかの部屋が現れる。一番奥の部屋のドアを開けると、そこには歩夢はもちろんのこと、和也も一緒にいたのだ。


 和也や歩夢に縛られていた紐を外し、一同は安堵の溜息を漏らすのであった。

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