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ー決心ー68

「あ、ああ……って、URLってなんだ?」

「ん? 望って携帯のことあんまり知らへんの?」

「あ、まぁ……電話とメールが使えればいいと思ってるからさぁ、特にそんな機能があるってことも知らないんだよなぁ」

「そうやったんか……ほんなら、携帯貸してー、望のもやっといてやるしー」

「あ、ああ、おう……」


 望は雄介に言われるまま携帯を渡し、しばらく待っていると、


「ほい! これで、待ち受け画面が俺達のになったで……」

「……へ?」


 そう言って雄介から渡された携帯には、二人で撮った写真が待ち受け画面になっていた。


 望は携帯にこんな機能が付いていることすら知らなかったのだろう。


「へぇ、今の携帯って、こんなこと出来ちまうんだな」

「ま、そういうことやね。俺も望との写真を携帯の待ち受けに出来て嬉しいわぁ。それと、シールな」


 そう言って雄介は望にシールを渡した。


「ま、シールは使い道はねぇけどな」


 そう言いながらも、望は待ち受け画面には満更でもない様子だ。


 二人で撮った写真はこれが初めてだった。もう何年も付き合っているというのに、二人で写真を撮るなんてことは一度もなく、携帯の待ち受けにするなんて発想もなかった。これで雄介がそばにいなくとも、携帯を開けばそこには笑顔の雄介がいる。


「さて、次は定番の映画かなぁ?」

「でも、今年は面白い映画がないだろ?ならさ、もっと、違うとこにしないか?」

「んー、そないなこと言われてもなぁ。地元なら兎も角……ここ東京やかんなぁ、どこかいいとこなんて知らんしー」

「俺も知らないからな」

「なぁ、水族館なんかどや? 今、携帯で調べたら……どうやら、この近くにあるみたいやけど」

「水族館!? 水族館ってテレビでしか見たことがないんだけどさ……魚がいっぱい居るとこだろ?」

「まぁ、確かに魚がメインなんやけどな。もっといい場所に行くと、イルカのショーとか見れるんやで……」

「そういう所だったんだな。んじゃ、そこは雄介に任せるよ」

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