目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

ー決心ー73

 雄介は息を切らしながら、そこで息を整えていると、


「ホンマ、さっきの女の子たちしつこかったなぁ」

「まぁ、確かにそうなのかな?」


 そう望は雄介からの問いに答えながらも、半分は首を傾げてしまっていたようだ。


「あ、そうか……望はそういうことも知らんもんな。でも、今日は望も話しかけられていたんと違うの?」

「ああ、まぁ、そうだな」

「何もされてへんか?」

「大丈夫だったけどよ。やっぱ、前にお前が言っていた通りに、女の子の誘いを断るのって大変なんだな」

「……って?それって、どういう意味なん?」

「雄介が話している間、俺の方にももう一人の子が来たからさぁ。俺もなかなか女の子に断ることができなかった。だから、本当にすっげぇ困ってたけど、雄介が引っ張ってくれなかったら、俺……女の子たちの誘いを断りきれなくって、行ってしまってたかもしれないなって思ってよ」

「ん、まぁ……そん時はしゃーないって思うかな?でも、望といる時は俺が助けるからええねんやろ?」

「ああ、まぁな。でもさぁ、デートって本当に大変なんだな。あんな風にナンパとかされるんだしよ」

「あ、それは……俺たちが男女のカップルじゃないからなんじゃない? 男同士で歩いてるから、端から見たら友達同士で遊びに来てるって感じやと思うしな。流石に男女カップルの男の方にナンパ仕掛ける度胸のある女の子はいないやろうし」

「あ、そういうことか」

「そういうことやね。ま、とりあえず、携帯取りに行こう。そろそろ時間やろ?」

「あ、ああ、そうだな」


 望は腕時計を見ると、雄介の言った通り、そろそろ携帯ができるであろう時間であった。


 二人はビルとビルの間から再び繁華街へと出て歩き始める。先程とは逆の道を行き、携帯ショップへと向かうのだ。


 と、その時、先程と同じように女の子たちが望たちに声をかけてきた。


 だが、先程と違うのは雄介メインではなく、望メインで声をかけられたようで、


「あ、やっぱり、春坂病院の吉良先生よねぇ?」

「あ、まぁ、そうですけど……」

「いきなりでゴメンナサイ。前から、私は吉良先生のことが気になっていたんですよ」

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?