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ー決心ー76

「ま、たまには家に遊びに来てな」

「それもいいんだけどー、俺ら、早いと二週間後には新しい家に引っ越すつもりだからさぁ。そっちに遊びに来てくれると嬉しいなぁ」

「あー、確かに、引越し祝いせなアカンしな……ま、そん時に遊びに行くな!」

「そうだな……じゃ、また、今度ー!」

「ほな、またなぁ」


 そこで二組は別れると、雄介と望は携帯を受け取り、携帯ショップを出て行く。


「さて、俺らはドライブにでも行くか?」

「あ、まぁ……それはいいんだけどさぁ。確かに俺がそう言ったけど……もう、五時なんだよな」

「んー、せやけど、帰るにはちょいと早いんと違う?」

「いいじゃねぇか……家でゆっくりしたらさぁ」


 雄介は望のその言葉に一瞬、頭にハテナマークを浮かべたが、すぐに笑顔を望に向け、


「そうやな……家で二人きりでゆっくりした方がええよな?」

「ぁ……」


 望は自分の言葉に気付いたのか、みるみるうちに顔が赤くなっていく。


 そんな望に気付いた雄介は、


「ま、ええわぁ……家帰って、ご飯作るしー、何がええ?」

「お前が作るなら、何でもいいぜ」

「せやなぁ? ほな、天ぷらでええか?」

「あ、ああ、それでいい……」


 少し照れくさそうに言うと、望は先に歩き、駐車場へと向かう。


 そんな望の後ろ姿に雄介はクスリと笑みをこぼし、望の後をついて歩く。


 そして駐車場へと着くと、


「帰りは俺が運転していくから、雄介は助手席でいいぜ」

「あ、そうなん? どないしたん? 急に運転したいって……」

「ただ単に、お前がいる時に俺があんま運転したことがなかったなぁーって思ったからな。だから、運転してみようって思っただけだ」

「ま、望が運転したいって言うんなら、俺は構へんけどな」


 雄介は助手席に座り、シートベルトを締める。


 本当に二人でいる時は雄介ばかりが運転していたが、今日は珍しく望が運転するようだ。どういう風の吹き回しなのだろうか。


 望の性格がたまに分からなくなる時がある。

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