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ー決心ー128

「んー、ま、そうやねんけど、望というか……医者って金持ちってイメージがあるしなぁ。なんかこう……ブランド服を着るイメージがあるというか」

「それはあくまでイメージだろうが……お前さぁ、俺の私服姿とかあまり見てねぇだろー?」

「そりゃ、望の顔ばっか見とるからな……そないに注目して見たことがなかったような気がするわぁ」


 その言い草に、望はため息を漏らす。


「ま、とりあえずいいからさ……自分で服を選べよ。まぁ、お前が好きそうな趣味じゃないかもしれねぇけど、ラフな感じにするんなら、ここがいいと思ったからさ。って、お前こそ、革系ばかりの服じゃねぇか。革系って高いんじゃねぇの?」

「あ、そうかもしれへんな……」


 望にそう指摘され、雄介はこれまで自分が着ていた服装を思い出しているようだった。


「せやね、一着、五千円とか当たり前やったしなぁ」


 さらに雄介の発言に突っ込みたくなった望だったが、それを我慢し、


「とりあえず、お前の場合は黒のGパンとか似合いそうじゃね?」


 と言いながら、GパンコーナーからGパンを手に取り、


「あ、俺……お前のサイズ知らなかったわぁ」

「そうやったっけ? 前にサイズの話せんかったかな?  望はMサイズって言っておったような……ほんで、俺はLやって答えたような気がするわぁ」

「って、違うんだよ……それは上着の話だろ? ズボンのサイズの方を聞いてんの……」


 そんなボケをかます雄介に、望は再びため息を漏らす。


「ズボンか……」

「ズボンはウエストの長さで探すのがいいからよ」

「そうなん?  自分のウエストのサイズなんて知らんわぁ」

「なら、今までどうやってズボンを選んでたんだよ」

「まずは好きなズボンを選んでやな……後は試着してみて、丁度良かったらそれにするって感じやったしー」


 再びため息を漏らす望。初めて雄介と一緒に服を選びに来たのだが、雄介のアバウトな洋服の選び方に、何度もため息をついてしまう。


「なら、今日は自分のウエストに合うサイズを探して、それを覚えておけよ。そしたら、今度買いに来る時にそのサイズでいいんだからさ」

「ほなら、そうしとくなぁ」

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