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文化部の先輩は、どこかおかしい
文化部の先輩は、どこかおかしい
ko-suke
恋愛スクールラブ
2025年05月26日
公開日
1.1万字
連載中
平凡な男子高校生、葛城渉。彼は春に入学したばかりの1年生であり、今現在、文化部と呼ばれる部活に所属している。 文化部には2人の先輩がいるが、その2人はどこかおかしい人達で・・・? 平凡で非凡な日常が織り成す、青春学園ラブコメディ(?)。

第1話 文化部の先輩達

☆☆☆

桜の木が揺れ、ふわりと春の香りが鼻をよぎる。穏やかな日差しに、小鳥たちのさえずりが聞こえる。


そんなのどかで、平和なこの日に.....


俺は目隠しをされて、どこかへと引きずられていた。なんでこんなことに.....?

☆☆☆


話は数分前に遡る。


俺は、とある田舎町にある高等学校に通う男子高校生、葛城渉かつらぎわたる。この春入学した1年生だ。


新品の制服に身を包み、桜舞う通学路を歩く。思い描いていた高校生活が出来ていることに、心躍らせていた。


これで隣に可愛い子でもいてくれれば、言うことなしの最高なんだがな。一人っ子で幼馴染もいないし、贅沢言っても仕方ない。高校生活の中で彼女を作れれば、あるいは.....か。


そんなことを考えながら、学校の門をくぐる。校舎までの一本道には、様々な人がいた。


「サッカー部です!よろしくお願いします!」


「吹奏楽部でーす!初めての人でも大歓迎でーす!」


どうやら部活動の勧誘らしい。看板やらのぼりやらを引っ提げて、新入生に声がけをしている。


この学校は、部活動が盛んな学校だ。俺がここを選んだのも、それが理由だったりする。運動部も文芸部も数多く存在し、活発に動いているところが多い。


中学の頃はサッカー部で、そこそこ活躍できていたという自負がある。それと学校とは別に、親の勧めでバドミントンのクラブにも所属していて、そっちでも大会上位の成績は残せていた。


入るならその辺かな~、なんて思っていた時だった。クイクイっと誰かに、袖を引っ張られた。


「うん?」


そして振り向いた瞬間、目の前が真っ暗になる。正確には、目の部分に何かを貼っつけられて、何も見えなくなった。そして、あれよあれよと手と足を縛られた。


「うおっ!?いやなになになに!?」


「みき、上手くいったよ!」


「.....グッジョブ。じゃあ連れていこう。」


「え!?ちょ、やめてくださ、い.....っくそ、ダメだ外れねぇ!」


俺は知らない2人組に捕まり、身動きも取れずに引きずられて連れていかれるのだった。


☆☆☆


で、今に至ると。いやもう何これ、カオス。


数分後、俺は床に降ろされた。どこかの教室だろうか、ガラガラと扉を開ける音が聞こえる。俺はまた引きずられ、椅子に座らせられる。


縄を解かれた瞬間に逃げ出そうと考えていたが、上手くいかなかった。解いた瞬間に逆に捕まれ、すごい力で今度は椅子に縛られたからだ。一体俺が何をしたってんだ!?


「よっ.....と。」


目隠しが外され、ようやく周りの景色が見えるようになる。やはりどこかの教室のようだが、まるで友達の家かのような内装になっていた。


そして目の前には、俺をここまで引きってきた2人組が、こちらの様子を伺っていた。


1人は女性で、腰に手を当てている。眼鏡をかけたショートヘアで、読書が似合いそうな風貌だ。制服のリボンの色からして、一個上の先輩のようだ。


もう1人は.....男性、のはず。こんな濁すような言い方になったのは、その風貌が可愛らしかったためだ。童顔で顔が小さく、「男の娘」という言葉が合いそうな.....そんな感じ。この人も先輩なんだろうが、あんまそんな感じがしない。


俺の名誉のために言っておくと、俺にそっちの気はない。あくまで一般用語として使ったまでだ。ほんとうだからな。


「よく来たね、新入生くん。我が部にようこそ。」


「いやそっちが連行したんだろうが」


「.....先輩なんだけど、敬語を使う気はあるかな?」


「使って欲しいなら、まずはこんな犯罪まがいなことをやめて欲しいっすね。」


「あはは.....ごめんね、どうしても他の部に君を取られたくなくて。これが一番かなって思ったんだよ。」


話を聞く限り、どうやらこれも部活の勧誘のようだ。心象は最悪だが。


「はぁ.....で、ここはなんて部活なんです?どう考えても運動部じゃなさそうだし、文芸部なんでしょうけど.....」


「ふっふっふ、よく聞いてくれたね。」


女性の先輩はそういって、仁王立ちになる。その後ろで、男性の先輩が看板をバッと掲げた。


「私たちは.....文化部。よろしく、3人目の部員くん。」


バーンという効果音とともに、部活名が勝たられるのだった。.....てか、俺もう部員として数えられてるんだが!?


☆☆☆

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