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マイホームに住みませんか?
マイホームに住みませんか?
掛川ゆうき
BL現代BL
2025年05月27日
公開日
1.2万字
完結済
不動産屋で働いている主人公、そこへ自分好みのお客様が来店、そして家を選ぶことに……だが、もしかして主人公のことを意識そてくれてる!?そしたら、両片想いだよね? え?え?だけど……ちょっと待った――アレ、あれれー?何かが違う……??

第1話

 僕は、ある不動産屋で働いている。


 今は三月。

 来月から新生活を始める人たちが多くなる時期で、たくさんのお客様が来店する季節でもある。


 そして、僕が働いているこの不動産屋にも、新入社員が入ってくる予定だ。それも楽しみではあるけれど、まずは目の前の仕事に集中しよう。


 今月に入ってからは、次から次へとお客様が訪れる。

 僕がこの不動産屋で働き始めて、もう五年目くらいになる。ちょうど仕事が楽しくなってきた頃で、だいぶ慣れてもきた。こうして何年もいろいろな人と接しているうちに、何となくだけど、その人がどんな人かも分かってくるようになった。


 そう、僕は――はっきり言って男性が好きだ。

 なんとなくだけど、同性が好きな人って、お互いにそうだって分かる気がする。


 ちなみに僕は、イケメンでメガネをかけた爽やか系の顔立ちだと、自分では思っている。女性のお客様からこっそり電話番号を聞かれることもあるけれど、スーパースマイルでやんわりとお断りしている。

 こういう仕事をしているから、話し上手でもある。お客様には、楽しくお部屋選びをしてもらえるよう心がけている。


 だから、営業成績もけっこう良い方だと思う。


 さて、今日も予約が入っている。

 予約の電話で話したとき、相手の声が僕の好みだった。実際に会ったらどうなんだろう、と期待と妄想が膨らむ。


 その男性が、もうすぐ来店する予定だ。


 不動産屋のドアが開く音と同時に、チャイムが鳴った。

 僕はすぐにドアの方へ視線を向けて、お客様に挨拶をする。


「いらっしゃいませ――」


 僕以外のスタッフも、そのお客様に向かって挨拶をした。


 僕はお客様の近くまで行き、確認する。


「北山様でよろしいでしょうか?」


「あ、あぁ! はい!」


 元気よく、そしてどこか可愛らしく返事をする北山様。

 その瞬間、僕はヤバかった――。


 先に言ったように、予約時に聞いた声と、今目の前にいる人の印象がぴったり一致していたのだ。


 北山様は、可愛らしくて、来月から大学生という雰囲気だった。

 いや、身長や童顔の印象からすると、高校生くらいにも見えてしまう。


 その瞬間、僕の心臓がドクンと高鳴るのをはっきり感じた。


――そう。

 僕にとって、北山様は完全にドストライクなお客様だった。

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