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第11話 202×年 8月7日――。

 202×年 8月7日――。



「おう、中沢じゃないか!」

「ああ、清さん、久しぶりだねぇ。最近見なかったけど、どうしたんだい?」

「ああ、一週間ほど娘の家にお邪魔してたんだよ。やっぱり都会は良いなぁ……」

「ははは、便利だからなぁ」


 二人の笑い声が畦道に響く。


「おお、そうだ。後でうちのもんが吉江さんの所に行くって言ってたぞ。吉江さんは元気かい?」

「ああ、元気元気。一週間後に娘が孫を連れてやってくるって言って……張り切っちゃってさぁ」

「ははは、数年ぶりにこっちに来るんだろう? そりゃ、張り切るってもんさ……そういや、中沢。今からどこに行くんだ? こっち方面だと……もしかして、祠の見回りかい?」


 中沢は肩を竦める。


「当たり……一応管理人だからねぇ。月に一回くらいは、顔を出してやんないと」

「さすが、真面目な政夫さんだな!」

「その呼び方はむず痒いからやめてくれ」


 バツの悪い顔をする中沢を、面白そうに見る清。


「あの階段はな……膝にくるんだよな、最近。そろそろ勘弁してほしいんだが……ん……?」


 中沢は清の後ろを見た。


「どうした?」

「ああ、後ろが気になってさ」


 そこには、門が――。


「どれどれ……読みづらいけど……ああ、“御堂”って書いてある」

「御堂か。あの祠と同じ名前だな」


 二人は顔を見合わせる。


「「……ん(え)? こんなところに家なんて、あったか?」」









 ……完……?

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