「みなさん〜!おまたせしました。
【待ってました!】
【ついに、
【技術すごい、本当に現実にいるみたい】
コメント欄も盛りやがりを見せ、同接者は500人を超えている。それもそのはず、今回はコラボである。
それに、3Dモデルも完成して、服の中に小さなセンサーを組み込むだけだけで、モデルを動かせるようになっているた。現実での風向きや、日の高さを計算して、まるでそこにいるような映像を作り出すこともできている。
まさに、科学の力ってやつだ。
「今回、前回のアンケートに答えてくれた活動者の中から、"プラルグ姉妹"のお二人に来てもらいました。今日はよろしくお願いします!」
彼女の掛け声とともに、陽気な2人込みが画面に映し出される。
「はじめまして!姉のプリクルと…」
「妹のルグラルです!」
2人はあまり似ていないが、息ぴったりの自己紹介により、その仲は良好なことがよく伺える。
「はい!今日は、この2人に初心者である
【頑張れ!応援してるぞ!】
【いきなり、コラボってすごいな…。】
【遂に、
しっかりと、オープニングも成功したところで、彼女たちはダンジョンに潜っていくのであった。
***
ダンジョン――それは、突如世界に現れた建造物である。ダンジョンの発現により、人々はSkillを得て、新たな職を得た。
基本的に下の階層に行くほど、魔物は強くなる。難しければ、階層の途中にボスと呼ばれる、特に強い魔物が潜んでおり、一度入ると出ることができない場所をボス部屋と呼ぶ。
ダンジョンには、配信者だけでなく、ダンジョンの攻略だけを目的とする人々を探索者と呼ぶ。彼らは、ダンジョン攻略のプロとして、ダンジョンの中に眠る秘宝を探して、生活をしている。
そして、今ダンジョン公式協会が、目標にしているのは、ダンジョン・
配信者は、その攻略に向けて当時注目がなかったダンジョンを広める行動として広まったものである。
「アマネちゃんは、そんな機械持って、重くないの?何か持とうか?」
コラボ相手であるプリクルが、アマネに気を使う。確かに、VTuberの投影のために大きめのリュックを背負っているが、戦うときには、近くに置いておけば問題はない。多少、手荒に使っても壊れないようには、なっている。
そして、目の前に広がる夢見た世界。そう、ここは初心者向けに公開されているダンジョンの第一階層。
基本出るのは、犬型…(普通は狼型と、呼ぶ人が大半である)の魔物。しかし、アマネは心が躍っていた。なぜなら、この魔物見た目がすごく、かわいいのだ。
その見た目は、犬に悪魔の翼が生えたもの。羽根は小さくて飛べないという、ドジっ子ポイント付き!それを、今から倒す。始めて、魔物を倒す!
その事実に胸を躍らせる。ステップは、次第に軽くなり、奥にどんどん進む。
すると、目の前には何度も夢見た、愛くるしい魔物の姿が、
「みなさん〜!初魔物発見です!これから、頑張っていきますよ!」
彼女の声にコメント欄が、盛り上がる。
【Skillを見る時が来た!】
【Skill気になりすぎて、夜しか眠れないよ。】
【やっちゃっれ!】
その応援に答えるように、彼女は目にかけているメガネを外す。画面の方では、彼女の姿はVチューバーのアマネとなっているため、わからないが、チセの技術により、眼の色が変わるようになっていた。
ゆっくりとしゃがみ込み、飛びかかる魔物の前に中腰になる。
彼女の目と魔物の目が合った。魔物の目は、最後に彼女の姿を映し、つぶれるようにしてその肉体を失う。
「やば、どういうこと?」
姉妹が2人揃って同じことを口にすると同様に、コメント欄でも。
【瞬殺…。バケモンじゃん。】
【誰か…、誰か…解説頼む!】
【強すぎだろ!即死やん。】
彼女が画面に向かってウインクをした。それは、まさにダンジョンに舞い降りた天使のようだった。
♤♤♤
ある女が、
「アマネちゃんか…。新しい子でてきたな。さすが、咲羅さん。」
彼女はつぶやくと、素早くパソコンを操作し、株式会社Leliveのホームページをクリックした。
【新しいことを始めよう!】
株式会社Leliveは、新しい挑戦を助けていけるような事務所です。ただいま、第0期生
(クラウドファンディングに、参加して頂いた皆様、株主の誠にありがとうございます。返礼品、株主優待は、来月にお手元にお届けられるように急いでおります…)
長い文章を読むの諦めたのか、所属配信者の欄からアマネをクリックすると、プロフィールを表示させる。
【
見出しにでてきた文字を確認すると、
「なんでこんな子が…。Skillだけで生きていけると思うなよ。咲羅さん。やっぱりあなたは、こんな小さな事務所にいるべきじゃない。なんで、なんで…。辞めてしまったの?」
彼女の怒りと後悔が頂点に達しそうな時、スマホのアラームがなった。画面には、【配信】と、表示されている。
急いで、パソコンの画面を切り替え、自分のアバターを表示させる。そして、普段よりも一通り高い声で話す。
「みなさん!元気ですか〜!モルカ・ユルクルでーす。今日もお昼の雑談配信やっていくぞ!」
【まってました!】
【モル様…。少し元気ない?】
すごい勢いで、コメントが流れていく。中にはスーパチャットも含まれていた。同接数は、なんと驚異の1000人超え…。
「少し寝不足なだけだよ!」
明るい声で答える彼女は、何者なのだろうか?