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第12話

 そう聞かれ薙は修斗のことを見上げ、


「僕のことより、修斗の話の方が先に聞きたいんだけど?」

「じゃあ、何から話たらいいかな?」

「んー……今のことかな? ホストと医学部に通ってるっていうのはわかったんだけど……何で?」

「んー、別に……何だか分からないまま医学部に行ってるんだよね。ただ、頭がいいだけで、小学校の時から親からも先生からも、『頭がいいんだから、名門校に行けるから、勿体無い』って言われてね。だから、普通の中学校ではなく、名門校に行かされたって訳……俺的には別に普通の学校で良かったんだけどさ。ほら、薙もいた訳だから……。それで、中学も高校も一貫校だったから、そのまま高校もその学校系列の高校に行けたしね。それで、何となく勉強だけしていて、それで、高校の時にも『これなら、名門大学に行ける!』とかいう理由で、親や先生に言われた通りに今は大学行ってるんだけど……。本当、全部、親達がそういうから、学校には行ってる訳で、俺の意見はないに等しかったのかな? だから、今も何となくで過ごしていたんだよ。それで、ホストしながら、学校に通ってるんだけど……そりゃ、親に無理矢理、大学の医学部に行かせてもらってるけど、大学位は卒業したいじゃん。でも、医学部ってのはお金が掛かるしさ……親にもあまり負担掛けたくないし、ホストで稼いで、少しは学費に回してるんだよ」

「ふーん……そうだったんだ。確かに修斗は頭も良かったしね……テストなんか勉強しなくても、いつも百点ばっかりだったしね。そりゃ、親や先生にいい学校に行けって言われるよねぇ。しかも、親達にしてみたら、いい学校に行ってくれれば鼻も高い訳だしね」

「ま、そういうことだよな。それに、ホストはそんなに出勤しなくても、お金は稼げてるしさ……ま、俺はそんな感じだけど? 薙の方は?」

「あ、いや……僕の方は平凡だよ。東京の大学に通ってるのはいいんだけどさ……家も大学の学費は払ってもらっているものの、家賃と生活費は自分で稼がなきゃならないでしょ? だから、時給がいいコンビニの夜のバイトしてるんだけどね」

「そっか。あのさ……さっきの話になるんだけど。俺は薙と一緒に住みたいと思ってるんだけどなぁ。お金のことは心配しなくていいから……だって、俺がホストして稼いでるだろ? もう、こんな生活してたら、普通にバイトなんか出来ないしさ。 薙は昼間は学校に行って、夜は家で家事とかやっててくれたらいいし……生活費は二人で住んだら、薙に渡すし……そしたら、これからずっと二人で居られるだろ?」


 そう修斗は薙のことを優しく抱き締めながら言うのだ。

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