柳沢吉保……小姓から、側用人、そして甲府藩主まである意味江戸時代最も出世した人物。時代劇では悪人として扱われることが多いが、良くも悪くもとにかく有能な男。政治家としてだけでなく源氏物語や古今和歌集、王朝文学に
通じるなど文化人としても優れていた。
由希……この物語の影の主役。王朝時代に生きたが悲劇的な生涯を送り、およそ七百年成仏することなく、自らを不幸に貶めた仇への復讐の機会をうかがっている。
右衛門佐局……大奥総取締。京の出自で後宮で霊元天皇に仕えていたといわれるが、出自については不明な点が多い。自らの立場に危機感を感じた将軍御台所鷹司信子により大奥に招かれた。源氏物語や伊勢物語、その他ありとあるゆる古典、文学、漢詩、和歌に通じた才女であったという。
飯塚染子……表向きは吉保の側室、京の下級官僚の娘。最初は右衛門佐局のもとに侍女として仕えていたが、後に近衛家の姫君・熙子に仕えることとなった。やがて熙子が甲府宰相徳川綱豊に嫁ぐにあたって共に江戸に下向。旧主右衛門佐局の招きに応じて江戸城大奥の人となる。ところが誤って将軍の手がついてしまったことから、悲劇的な運命をたどることとなる。
桂昌院……元の名は玉、京の生まれで野菜売りの娘だったが数奇な運命の末大奥入りし、三代将軍家光の側室となり五代将軍綱吉の母として、事実上大奥の主として君臨することとなった。「玉の輿」という言葉の語源となった人物であり、ある意味日本史上最も出世した女性。仏教に対する信心が強く、戦乱で焼けた日本国中の寺社修復をおこなった。また数百年途絶えていた葵祭を復興させるなどした。
鷹司信子……将軍綱吉の御台所(正妻)、京の名門鷹司家の出自で容姿は決して悪くはなかったが、プライドが高く傲慢で冷酷な性格をしており、将軍との仲も冷め切っており、ついに子をもうけることはなかった。
徳川綱吉……徳川五代将軍、希代稀にみる暗君。表向きが学問好きで儒学の道にも精通しているが、悪法で民を苦しめ、家臣の妻に手を出し、その娘にまで手を出すなど、儒家の説く理想の君主からはあまりに遠い存在。一説には身の丈が124センチしかなかった。
藤原家里……王朝時代を生きた右大臣、由希から仇と狙われている。生まれ変わっているかどうかは今のところ不明