( う、う~ん )
重いまぶたをゆっくりと開く。
やけに重い。遠くの方から話声が聞こえる。目を開けているのにあまりよく見えない。視界が徐々にはっきりとしてきて…。
( 誰…だ )
目の前に人がいる、まだあまりよく見えないので目を細める。見た事がある顔だ。
そう、この顔は。
( 推しがいるぅうううううううううう!? )
その瞬間意識は覚醒し目もはっきりと見えるようになった。
( 間違いない!俺の目の前にいるイケメンは、俺が大好きなBLゲームの「空の恋路」の主人公、空だ! )
( 本物?いや俺が空を見間違えるはずがない、これは… 夢? )
「あっ!目が覚めた?おはよう、陸。
海ー!!陸が目を覚ましたよー!」
目の前の空が優しく声をかける。そして、俺から視線を外し誰かに呼びかける。
( 海?今海って言った!?俺が空とのカップリングで一番推しているあの海!?)
向こうの方から足音が聞こえてくる。その音が近づいてくる。俺の心臓はずっとバクバクしぱなっしだ。
「 空、陸が目を開けたってほんと? 」
( かっ海だ、やべぇー超イケメンすぎる、かっこよすぎて直視できない。でも顔見たい )
空と海が俺を覗き込むように見ている。二人の顔には笑顔が浮かんでいた。
( ここは……………天国か……? )
自然と涙が出る。
「 あーぁ、泣いちゃった。ほぉーらほら
泣かないでー 」
空が俺を泣き止ませようと優しく揺れる
「 あぁ……もしかして俺のせいで泣いてしまったか? 」
海が申し訳なさそうに言う。
「 大丈夫、きっと初めて目を開けてびっくりしちゃったんだよ。 」
そんな海を少し笑いながら、安心させる言葉をかける空。
( 尊い……尊すぎる……。 )
その姿を見てさらに涙を流す。
「 あれ〜?泣き止まないな、どうしよぅ 」
「 空、おまじないをしよう。」
そう言って二人の顔は俺に近づき……。
ちゅっ。
キスをした。
俺は気絶した。