第6話 あの子が来た日
そして、ある夜。
仕事を終えて帰宅すると部屋には誰もいなかった。
リビングのテーブルにはユキナのスマホとバックが置かれている。
なのに彼女の姿はどこにもない。
電話をかけようにもスマホは目の前にあるし
家中どこを探してもいない。
レンが微かに不安を感じ始めたそのとき――
「ただいま〜」
玄関の向こうから聞き慣れたユキナの声がした。
「……ユキナ?」
レンが玄関に向かうとドアがゆっくりと開く。
そこにあったのは奇妙な光景だった。
ユキナが赤ん坊ほどの大きさの人形を大事そうに抱いて立っていたのだ。