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月の婚約者〜私の運命の相手は誰?〜
月の婚約者〜私の運命の相手は誰?〜
紫桜みなと
現代ファンタジー異能バトル
2025年06月14日
公開日
5.5万字
連載中
ごく普通の女子高生・月光羽闇(げっこう はやみ)。亡き母から託された紫の石のペンダントが白く光を放ったあの日から羽闇の日常は信じられない出来事の連続へと一変する。 突如現れた祖父と名乗る男から告げられたのは、羽闇が月光家の特別な使命を帯びた存在――月姫に選ばれたという驚愕の事実。その役割とは後継者を残し月の力を未来へと繋ぐ事、そしてその力で人々を守るという重大な使命だ。 更に羽闇はその使命を共に果たす伴侶を個性豊かな複数の婚約者候補の中から選ばなければならないという。一体誰が羽闇の運命の相手なのか? 平凡な日々は終わりを告げ、月姫としての二つの責務と未来の伴侶選びという難題が一人の少女の肩に重くのしかかる。運命の歯車は容赦なく回り始める――。 ※R15程度では御座いますが、性的・残酷描写が若干含まれておりますので苦手な方はご注意下さい。 ※この作品は『カクヨム』『小説家になろう』『アルファポリス』でも掲載しています。

1章

第1話【紫石のペンダント】

静かな朝の光が差し込む部屋で、お母さんは私に優しく微笑みかけた。


羽闇はやみ、貴方にこれを。」


「なぁに?…わぁ!これってお母さんがいつも着けているペンダントだよね!」


お母さんの手には、いつも身につけている紫石のペンダントが握られており、私は目を輝かせながらそのペンダントに見入った。


「そうよ。これは我が一族代々命と同じ位大切と云われている宝物なの。そろそろ貴方にこれを渡してもいい頃と思ってね。」


「ありがとう、お母さん!わぁ…すっごく綺麗ー!」


お母さんは私の手にそっとペンダントを乗せる。石はキラキラと輝いており、まるで星が閉じ込められている様だ。


「……私でもだったけど、貴方ならきっとこの運命から抗える事が出来るかもしれない。頑張ってね。」


「…?」


お母さんの言葉にはどこか悲しげな響きがあり、私は不思議そうにその顔を見つめていた。

その数日後、お母さんは突然この世を去ってしまった。 私は深い悲しみに暮れながらも、お母さんから託されたこのペンダントを大切に身につけ続けた。

そして、あれから十年が経ち―。


ピピピピピピッ!ピピピピピピッ!


「五月蠅いっ…!」


けたたましいアラームが鳴り響く。

私は重たい体を起こし、机に置かれたスマホを手に取った。止めるボタンを探して画面をタップするが中々見つからない。 やっとのことでアラームを止めると、私は大きく息を吐き出した。


「ふわぁ〜…ねっむ。もう六時かぁ。」


酷く眠い。体が鉛のように重い。いっそ学園を休んでしまおうかとも思ったが、そんな事を言っていたら、朝に弱い私は毎日学園を休むことになる。


「仕方ない、行くか。」


私は温かい毛布を渋々剥ぎ取ると、ベッドから立ち上がる。顔を洗って朝食を摂り、歯を磨いてから制服に着替える。そして最後には、十年前にお母さんから譲り受けた丸型の紫石のついたペンダントを首に掛ける。亡き母の形見であるこのペンダントは、私にとってお守りの様なものだ。


「よし、準備万端。じゃあ行ってきます。」


私の名前は月光げっこう 羽闇はやみ。ごく普通の高校一年生だ。

アパートから出た私は、ゆっくりと学園へ向かいながらスマホを開いて今日の自分の運勢を調べてみる。占いは好きという程ではないが、ある占い師の占いが意外に当たる事が多く、それから毎日チェックしているのだ。


「えーっと…今日の私の運勢は…やったぁ、大吉!『色々な嬉しいハプニングが起きるかも!?ラッキーアイテムはペンダント』。えー、どんな事が起こるんだろー!楽しみ♪」


私は頬を赤らめながら、ウキウキと学園へと足を進めた。

まさか今日、あんな事が起こるなんて思いもせずに―…。



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