静かな朝の光が差し込む部屋で、お母さんは私に優しく微笑みかけた。
「
「なぁに?…わぁ!これってお母さんがいつも着けているペンダントだよね!」
お母さんの手には、いつも身につけている紫石のペンダントが握られており、私は目を輝かせながらそのペンダントに見入った。
「そうよ。これは我が一族代々命と同じ位大切と云われている宝物なの。そろそろ貴方にこれを渡してもいい頃と思ってね。」
「ありがとう、お母さん!わぁ…すっごく綺麗ー!」
お母さんは私の手にそっとペンダントを乗せる。石はキラキラと輝いており、まるで星が閉じ込められている様だ。
「……私でも
「…?」
お母さんの言葉にはどこか悲しげな響きがあり、私は不思議そうにその顔を見つめていた。
その数日後、お母さんは突然この世を去ってしまった。 私は深い悲しみに暮れながらも、お母さんから託されたこのペンダントを大切に身につけ続けた。
そして、あれから十年が経ち―。
ピピピピピピッ!ピピピピピピッ!
「五月蠅いっ…!」
けたたましいアラームが鳴り響く。
私は重たい体を起こし、机に置かれたスマホを手に取った。止めるボタンを探して画面をタップするが中々見つからない。 やっとのことでアラームを止めると、私は大きく息を吐き出した。
「ふわぁ〜…ねっむ。もう六時かぁ。」
酷く眠い。体が鉛のように重い。いっそ学園を休んでしまおうかとも思ったが、そんな事を言っていたら、朝に弱い私は毎日学園を休むことになる。
「仕方ない、行くか。」
私は温かい毛布を渋々剥ぎ取ると、ベッドから立ち上がる。顔を洗って朝食を摂り、歯を磨いてから制服に着替える。そして最後には、十年前にお母さんから譲り受けた丸型の紫石のついたペンダントを首に掛ける。亡き母の形見であるこのペンダントは、私にとってお守りの様なものだ。
「よし、準備万端。じゃあ行ってきます。」
私の名前は
アパートから出た私は、ゆっくりと学園へ向かいながらスマホを開いて今日の自分の運勢を調べてみる。占いは好きという程ではないが、ある占い師の占いが意外に当たる事が多く、それから毎日チェックしているのだ。
「えーっと…今日の私の運勢は…やったぁ、大吉!『色々な嬉しいハプニングが起きるかも!?ラッキーアイテムはペンダント』。えー、どんな事が起こるんだろー!楽しみ♪」
私は頬を赤らめながら、ウキウキと学園へと足を進めた。
まさか今日、あんな事が起こるなんて思いもせずに―…。