翔太たちが知らない世界・・・
天界の白い空間で、二人の女性が向き合っていた・・・
一人は光り輝く美しい女神・・・もう一人は、柔らかな微笑みを浮かべた女性だった
「ありがとうございました」
女性が深々と頭を下げた
「お礼を言うのは私の方です。あなたの愛が、素晴らしい結果を生み出しました」
女神が穏やかに答えた
「私が見た未来・・・本当に恐ろしいものでした」
女性の表情が曇った
その未来では・・・・・
美雪がイケメン先輩の告白を受け入れてしまう・・・最初は優しかった先輩だったが、次第に本性を現し、美雪を弄んだ末に捨ててしまう
傷ついた美雪は自暴自棄になり、幾多の男性に身を委ねる荒れた生活を送るようになり、その爛れた日々の中で、彼女は次第に心を病んでいく
そして最終的に、美雪は自分の荒んだ生活を翔太のせいにして・・・
「翔太がもっと私を見てくれていれば・・・」
「翔太が私を愛してくれていれば・・・」
そんな言葉を残して、自ら命を絶ってしまう未来・・・
「私には息子を守ることしかできませんでした・・・でも美雪ちゃんは・・・あの子は私の息子を、母親を失った息子を、ずっと支えてくれていた」
女性の目に涙が浮かんだ
「美雪ちゃんがあんな未来を歩むなんて、絶対に許せませんでした」
「それで『異性にモテるギフト』を提案されたのですね」
「はい。翔太に他の素敵な女性たちと出会わせることで、美雪ちゃんの大切さに気づかせたかったんです」
女神は微笑んだ
「翔太くんは、ひなたさんの純粋な愛、レナさんの激しい愛、雅さんの上品な愛…それぞれ違った愛の形を体験しました」
「でも最終的に、ずっとそばにいてくれた美雪ちゃんの愛こそが本物だと気づいてくれました」
女性の顔が安堵で満たされた
「そして美雪さんも、翔太くんを取られるかもしれないという不安を通じて、自分の本当の気持ちに気づくことができました」
「三人の女性たちも、翔太くんとの出会いを通じて成長できました・・・すべてが良い方向に向かったのです」
女神が満足そうに頷いた
「ひなたちゃんは芸術に、レナちゃんは真っ直ぐな人生に、雅ちゃんは人々との繋がりに・・・それぞれ新しい道を見つけられて、本当に良かった」
女性は安堵の表情を浮かべた
「でも一番嬉しいのは、翔太と美雪ちゃんが結ばれたことです」
「母親としての愛ですね」
「はい。私がいなくなっても、美雪ちゃんがいてくれる・・・翔太を支えてくれる・・・それが何より安心です」
女性は空を見上げた
「翔太、ちゃんと美雪ちゃんを大切にするのよ」
まるで息子に語りかけるように、優しく呟いた
「お母さんはいつまでも、あなたたちを見守っているからね」
女神が静かに立ち上がった
「田中翔太の母、由美子さん・・・あなたの愛は確かに息子さんに届きました」
「ありがとうございます。女神様」
由美子は涙を拭いながら微笑んだ・・・
「これで安心して、天国で眠ることができます」
「永遠の愛は、死をも超えるのですね」
「はい・・・母の愛は、永遠です」
天界に静寂が戻った
翔太と美雪は知らない・・・
自分たちの幸せが、翔太の母・由美子の深い愛によって守られていたことを・・・
『異性にモテるギフト』という不思議な出来事の裏には、母親の無償の愛があった
由美子の愛は、息子だけでなく、息子を支えてくれた美雪も、そして翔太と出会った三人の女性たちも救ったのだ
愛する人を守りたいという想い・・・
それは死を超えて、奇跡を起こすほど強いものだった・・・
・・・・・
地上では、翔太と美雪が手を繋いで歩いている
「翔太」
「何?」
「なんだか、見守られている気がするの」
「え?」
「お母さんに、かな」
美咭は空を見上げて微笑んだ
「きっと、お母さんも喜んでくれてるよね」
翔太も空を見上げた
「うん。きっと」
二人は知らないまま、でも確かに感じていた・・・大きな愛に包まれていることを・・・見守ってくれている人がいることを
翔太と美雪の物語は、母の愛によって始まり、母の愛によって守られた
そして、その愛は永遠に続いていく・・・