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星降る君に手を伸ばして
星降る君に手を伸ばして
春瀬湖子
BL現代BL
2025年06月19日
公開日
4.9万字
完結済
「桜汰、俺と付き合わないか」 大学受験を間近に控えた高校三年生のある日、中学からの腐れ縁であり片想いの相手の長峰智彰からそんな提案を受けた牧野桜汰。 喜んだのも束の間、智彰からの提案は期間限定のものだと知って──? (それでも、智彰と付き合いたい) 公募制推薦までの女避けの対価として一般入試の勉強を見てもらうことを条件に付き合い出したふたりだが、その思惑は……。 終わりを決めた付き合いからはじめる初恋の物語。

プロローグ

 別にタイプが同じだったわけでも、趣味が同じだったわけでもない。

 本当にたまたま、偶然席が近かったことと、その日俺が消しゴムを忘れたことで接点ができた中学一年の頃から、気付けば俺たちは親友と呼べるまでに意気投合していた。


 どこかクールで、でも勉強も運動もしれっとこなすどちらかといえば大人っぽいアイツと、勉強もできないしモテもしない(でも運動ならできるっつの)まさにザ・中学生男子な俺が親しいことに周りはいつも不思議がっていたが、それでも俺たちは仲が良かったんだ。親友だと思っているのは、きっとアイツの方だけだと思うけど。


 そんな俺、牧野桜汰まきのおうたと、長峰智彰ながみねともあきの関係が変わったのは、腐れ縁を初めて五年とちょっと、現在高校三年生の夏。丁度部活を引退したぐらいの時だった。


「桜汰、俺と付き合わないか?」


 ――それは、俺のことを親友だと思っているはずの、片想いの相手からの提案だった。

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