目次
ブックマーク
応援する
8
コメント
シェア
通報
ヘンタイによるヘンタイのためのダンジョン配信~コートを開けばヘンタイが昇天する~
ヘンタイによるヘンタイのためのダンジョン配信~コートを開けばヘンタイが昇天する~
田鶴
現代ファンタジー現代ダンジョン
2025年06月21日
公開日
1.7万字
完結済
【下ネタ注意報】何がとは言わないがデカいのだけが取り柄の俺――へんた・いそうろう――は、マッパのまま美女の前でコートを開くのが趣味だ。ある日、日課のコート開陳をしようと散歩に出た時、マンホールの中に落ちてしまった。マンホールの下は、なぜかドブ臭い下水路ではなく、ヘンタイ・モンスターであふれていると言うダンジョンだった。俺は5日以内にLv 1000を達成して地上に帰らなければ、死んでしまう。そのために俺は、ヘンタイ・モンスターを自慢の巨砲で昇天させ、その様子をHenTubeで配信してスパチャを獲得する!

第1話 ヘンタイ・ダンジョン

 俺は、変田へんた居候いそうろう。『へんた』が苗字で『いそうろう』が下の名前だ。俺の名前を決して『い』で区切ってはいけない。俺のは折り紙付きだからだ。


 もちろん、居候は名前だけだ。俺はどこかの居候などではなく、一人寂しく右手を友にして暮らしている。


 ある日、俺はいつもの通り、マッパにコートを羽織って出かけた。コート開をしに行くためだ。


 俺はコートを開くなら、一家言がある。それは、喜ぶ人の前でしかコートを開かないということだ。


 前から来る美女がそういうタイプの人間かどうか、俺には瞬時に見分けられる才能がある。もちろん、コートの中身を拝めるのは美女限定だ。


 喜ぶ美女は、『キャー』と叫びつつも目を塞いだ手の指の間はしっかり開いていて、指の合間から俺の巨砲を凝視する。その視線が心地よくて、俺はいつもすぐに白い水鉄砲を発射する。


 何? 『い』より後の名前がていを表しているって? 心外だ!


 とにかく、その日は不作だった。俺は意気消沈してトボトボと歩いていて目の前のマンホールの蓋が開いているのに気付くのが遅れた。


「ウワァー!!」


 俺はマンホールの穴から落ちて全身を強かに打った。


「いててて……なんでマンホールの蓋が囲いもなく開いてるんだよ!」


 俺は腰をさすりながら、辺りをキョロキョロと見回した。ここは下水管かと思いきや、ドブ臭い匂いはしないし、地面は乾いている。真っ暗な地下空間から見上げると、遥か頭上に俺が落ちてきた地上の光が丸く見えた。


「え……なんでこんなに深いんだよ」


 本当にこんな高さから落ちていたら、俺はとっくに死んでいるはずだ。それが不思議だった。でも、とりあえず打ち身は痛いものの、それ以外の怪我はなく、ありがたいことに俺は生きている。


 だけど、こんな場所に閉じ込められていたら、いずれ近いうちに飢え死にするだろう。そんなのはもちろん、いやだ。俺は必ず生きてここを出て、またコート開して美女を喜ばせると誓った。


《ほうほう、地上の世界に帰りたいかい、お前さん》


「誰だ?!」


 辺りを見回しても誰もいなかった。


《無駄じゃよ。わしの姿はお前さんには見えん。それより地上に帰りたくば、わしの話を聞け》


 その爺さん(声から判断)は、ヘンタイ伝道師と名乗った。


 ここは、生前、ヘンタイを極められずにモンスター化してしまった死者がウロウロするダンジョンとなっている。それらのヘンタイ・モンスターを退治、要は昇天させてやれと言うのだ。


「まさか俺も死んでる……?!」


《ホッホッホッホ! 安心せい。お前はまだ死んでいない》


「まだ?」


 爺さんが言うには、俺は地上でヘンタイ活動をかなり極めていたため、このダンジョンに落ちた時に即死しなかった。でもこのままここにい続ければ、緩やかな死か、ヘンタイ・モンスターに襲われて精気を吸い取られて衰弱死するしかない。


《お前さんがヘンタイ・モンスターに襲われる前に逆に襲って昇天させ、Lv 1000を達成すれば地上に帰られる。だが5日以内に帰れなければ、ここで死ぬ》


 Lv 1000は、ヘンタイ・モンスター10匹分の昇天で得られると言う。このヘンタイ・モンスター達は、モンスターとは呼ばれるものの、その姿は生きていた時とほとんど変わらない。


「なんだ、人間とほとんど同じ姿のヘンタイ・モンスターたった10匹分かよ。簡単だな」


《ほう、簡単か。なら丸腰で戦ってみるんじゃな》


 爺さんがそう言った途端、俺の大事な商売道具のコートが消え、俺は本当の意味で丸腰になった。


「うわっ、俺のコートをどこにやった?!」


《心配するでない。コートはいずれ時がくればお前さんのところに帰って来る》


「ほんとなんだろうな? あのコートは国産一流メーカーの高級品なんだぞ」


《それよりヘンタイ・モンスターと戦う方法を心配するほうが先じゃよ》


「だいたいマッパでどうやって戦えって言うんだよ!」


《お前さんの股間の持ち物はお飾りかい?》


「ただの飾りのわけがないだろう。日々、美女の目を喜ばせている重要文化財、いや国宝だ」


 そう言った途端、俺の国宝はムクムクと成長して前に突き出し、ただでさえ巨大な大砲がもっと巨大になった。


「なんかムラムラするぞ」


《そりゃ当然じゃ。お前の巨砲はぶっぱなしたくて仕方ないんじゃ。5分以内にぶっぱなさなければLvが10減るぞ》


「そんなの、いつも通りなら……じゃなくてLvが減るってどういうことだよ?!」


 要は、ヘンタイ・モンスターを倒してモンスター1匹当たりLv 100を稼ぐのも重要だが、Lvが減らないようにするのも大切なのだ。


「なんじゃそりゃ!」


《ホッホッホッホ! グズグズしている間にも5分経過してしまうぞ》


「ええー?! どうすりゃいいんだよ!?」


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?