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最強カメラマン. ~その男、狂人につき。ダンジョンボスより注意せよ~
最強カメラマン. ~その男、狂人につき。ダンジョンボスより注意せよ~
月亭脱兎
現代ファンタジー現代ダンジョン
2025年06月22日
公開日
7,628字
連載中
《ザ・ダンジョンドキュメント》 ──それは、危険なダンジョン探索を撮り続ける人気配信番組。 「これ、一体どうやって撮影してるんだ?」 ドキュメンタリー監督を志す・天羽晃は、この番組の謎を探るべくアルバイトに応募した。 そこで出会ったのが最強カメラマンと呼ばれる大林建造。 彼はレベル999カンストの強靭な肉体で灼熱のドラゴンブレスを浴びながらも 最高の構図とベスポジを守るため絶対にカメラを止めない“撮影狂人”だった。 「このカメラマン、いかれてる」 こだわりの果てに狂った”プロフェッショナル”の戦いがいま、幕をあける。

プロローグ〜誰が撮ってる?〜


 ——ダンジョン配信


 それは今や、グルメ、アイドルに並ぶ「現代三大エンタメ」のひとつだ。



 昼休みの教室で。帰宅電車の車内で。病院のロビーでも。

 誰もがスマホを片手に、探索者達の命が燃え尽きる瞬間に興奮していた。


 その中でも異常とも言える人気を誇るのが、


 生配信番組『ザ・ダンジョンドキュメント』


 人気の秘訣は、なんといってもその危険性とリアリティ。



 舞台は常に生還率の低いS級以上の最恐ダンジョン。

 最強の探索者、最悪のボス。
火を噴くドラゴン、血の雨、罠地獄。


 そして限りなく低い生還率。


 その死線のスリルに、恐怖に、絶望に、人々は熱狂していた。




 でもこの番組、なんか変じゃないか?




 凶悪なダンジョンボスとの激闘の最中でも画面は一度も揺れない。



 音声も澄み切っている上に、スタッフの声は一才聞こえない。

 構図は完璧で常にベストポジションで、カメラが耐え切れるはずもない攻撃を真正面から撮影している。


 そもそもスタッフはどうやって生還しているんだ?



 だからこそ俺は、疑問を持った。




 「まさかこれ、”やらせ”なのか?」




 「ていうか……誰がこの映像を撮っているんだ?」




 そして、その疑問は、俺の人生を大きく変える扉だった。


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