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積ん読ダンジョン!
積ん読ダンジョン!
高橋志歩
現代ファンタジー現代ダンジョン
2025年06月27日
公開日
1.7万字
連載中
ある日突然、亡き父親からダンジョンを相続する羽目になった間宮菜月。そのダンジョンは、祖父の膨大な蔵書を元にした『積ん読ダンジョン』と化していた。 本にもダンジョンにも興味が無いのに、とある特別な本を探索をする羽目になった菜月を襲う、意味不明の混乱と困難。そして奥に進むにつれ、遠慮なく膨張していく本棚と奇妙な世界での出会いと別れ。 無限の本棚と無数の本で変化する積ん読の迷宮を、全力で駆け抜けろ! (この物語は創作です。登場する書籍、会社、人物、団体、場所、出来事はすべて作者の妄想による架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません) ※カクヨムでも公開しています。

00:プロローグ

今とはあまり変わっていないように見える、未来の日本。


 うららかな日の突然の出来事だった。

 何の前触れも無く、日本の首都のとある高級住宅街の一角で大規模な地面の陥没が発生し、その辺一帯の住宅群が地の底に飲み込まれた。


 不幸中の幸いで、建物が完全に地底に落下するまでにはある程度の時間がかかり、住民は脱出して人的被害は無かった。


 ただ一人を除いて。


 書評家で日本一の蔵書家と言われ、広大な屋敷の室内が全て無数の書籍で埋もれていると噂されていた間宮巌まみや いわおだけが、脱出せず屋敷ごと地下の暗闇に消えていった。

 救助に駆け付けた人々の眼前で「私の本にさわるなああ!」と窓からいささか意味不明の言葉を絶叫していたのが、最後に目撃された姿となった。


 もちろんその後捜索はされたが、ついに発見されず生死不明の行方不明者扱いとなった。


 その事件から20年と少し。

 町一つ分の陥没の跡地には幾つかの奇妙なダンジョンが出現し、調査の結果特に危険は無く、やがて国と首都によって管理された観光名所になり、人々は手軽にダンジョン探索を楽しむようになっていた。


 ただし、どうしても潜入が不可能な謎のダンジョンがあった。

 それはあの間宮巌まみや いわおの屋敷があった場所の真下に出現していた――。

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