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第10話 相互補完(クラウド)の隠しファイルは存在する

「ツバキ、やりますね」


 ワタシは、ツバキとマリアさんが清掃中のはずのプレイルームでお楽しみ中の現場を見つけてしまう。ドア越しでも聞こえるマリアさんの絶頂の声。ツバキ、マリアさんとヤりたいなら場所を選びなさい。職場でするなんてモラルがないですよ。


 本当なら、あなたの隔離病棟ブラック×ボックスでヤればワタシにバレなかったでしょう。

 しかし、隔離病棟の禁止事項で、あなたは亜空間に入ることができない。もし、破ってしまったら、あなたは死ぬ。


 死んでまで、マリアさんを抱く勇気は、あなたにはない。

 ワタシにはありますけどね。


「おいおい、じじいの嫉妬か?」


「カレンさん」


 まさか、こんなところでカレンさんと遭遇するなんて。


「おう、乳でかババァはお楽しみ中か。お前も飽きねぇよな。あんなババアのどこがいいんだよ?」


 失態です。カレンさんに弱みを握られるなんて。

 まぁ、これを知られたって痛くもないですがね。


「あなたにもいるでしょ。忘れられない想い人が……それと同じです」


 痛いところを突かれたカレンさんは完全に沈黙しました。

 そう、彼女はワタシには逆らえない。


「じじい、いい加減に純粋無垢パフュームの情報をよこせ!」


「ご心配なく、アイに探させています。しかし、純粋無垢は契約した情報意外不明なのです」


「はぁ? お前が契約したのにか?」


「契約した後は、契約者の情報は消去してます。契約を結んでしまえば、契約者の情報なんてゴミですよ。それにアイの監視体制プライベート・アイも全ての異能力を監視できるわけではないので」


 そう説明すると、カレンさんは残念そうな顔を浮かべる。


「ワタシも約束を守りますが、あなたも与えられた仕事は……」


「わかってるよ。邪魔な異能力者がいちゅうは全部駆除してやるよ」


 啖呵を切ったカレンさんは、その場を後にする。


 カレンさん、申し訳ありません。

 ワタシは約束は守りますが、ウソはつきます。


 あなたの探している純粋無垢の居場所は特定しています。アイの監視体制は、全ての異能力者の居場所や情報を管理できます。


 しかし、あなたにまだ教えるわけいきません。

 我々が子孫繁栄ドローンを見つけるまでは。


 それまで働きバチとして、ワタシの手の上で愉快に踊っていてください。


「まぁ、ワタシも働きバチの一匹にしか過ぎないのですが……」

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