自分の人生に点数を着けるとしたら70点は固いと思っている。加点方式で70点はあると信じている。高野マイの人生は短くて、それでいてその点数を着けれる理由は簡単だ。
順風満帆な人生ゆえであった。
恋人がいないのは減点要素ではあるが、それで不幸だと思ったことなどはなく、就職できて暫くしたらできるのでは?と妄想ぐらいはできていた。
成績は悪かったわけではない、寧ろ良い方に分類されるだろう。友達もいたし、仲の良い親友もいた。両親との仲もまぁ、良好だろうと、マイは笑う。
反抗期は迷惑かけたなぁと、一昨年の事を懐かしむ。その余裕すらないだろうと、血で染まっていくアスファルトを眺める。
事故で死ぬのに妙な冷静な脳はもう諦めているのだろう。マイの頭に浮かぶのは思い出だ。いわゆる走馬灯。流れていく忘れていた記憶を見、あぁとマイの瞳から涙が一筋。
死にたくないなぁ。
思い出はマイを苦しめていた。
『その願い叶えましょう』
頭に声が響いた。