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九龍記憶探索遊戯
九龍記憶探索遊戯
七海トモマル
現代ファンタジー都市ファンタジー
2025年07月14日
公開日
602字
連載中
陰界の九龍城があらわれて、その世界に魅入られたものがいた。 それから年月が過ぎて、 陰界の九龍城を再現した場所ができた。 あの世界にもう一度行きたい。 できることならばあの世界の住人になりたい。 そんな者たちが集まった。 後発的陰界の九龍城。それを九龍シムと呼ぶ。 九龍シムには様々の住人が集まった。 そこにしみついた物語があった。 これは、九龍シムという場所が覚えている記憶の物語。 陰界の九龍城に憧れてやってきた者たちの物語。 九龍シムは今でもそこにあるはず。 たくさんの思い出を持ちながら、 あなたのことも待っている。

第1話 このゲートから

このゲートに集うものは、

たいてい、あの思い出を持っている。

あの思い出とは、あの思い出。

陰界のクーロン城の思い出だ。


数年前。格好も整っていない連中が門を開ける。

この日のために、この世界へやってきた連中。

陰界に再び足を踏み入れたいと、願った連中。

クーロンズゲート。

クーロンの、このゲートから、

また、始まるのだと。

ゲートは始まり。

連中がこの門をくぐって、新しい陰界のクーロンは動き出した。


それから時間は静かに積み重なり、

この世界が終わったなんて、よそでは言われているというけれど、

この町は静かにここにあるし、

ゲートは相変わらずこの町の入り口としてある。

たまには集合した連中が記念撮影なんかして、

記念撮影が何枚も積み重なって、

その撮影に、いつもいる奴、いない奴なんかがあって。

お祭りの集合場所になったり、

ここからパレードが始まったり、

大騒ぎや、愉快なこともたまにはある。

門の近くで特設舞台が組まれたり。

そこで盛り上がる連中がいる。


時は過ぎていき、思い出が重なり、住民も変わる。


変わらない、この町の門。

クーロンのゲート。

思い出が始まり、人が集まり、何かが変わり、変わらなかったり。

起点はここから。

クーロンズゲート。

誰かが作り上げたイメージから、

誰かが受け取って膨らませて、

門の中に不思議な町が広がっている。


さぁ、行こう。

この門をくぐってクーロンへ。

みんなで膨らませた思い出が、

新しい誰かを、古い友達を、待っている。

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