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不可思議な短編集
不可思議な短編集
南悠
ホラーホラーコレクション
2025年07月17日
公開日
928字
連載中
実体験した、少しだけ不可思議な短編集

第1話 青白い光が・・・

23時を過ぎている。


仕事も終わり、男は一人駐車場に向かった。

店から駐車場までは、歩いて5分の距離なのに、今日は嫌に長く感じていた。


遠くに愛車のシルエットが街灯に照らされて浮かび上がっている。


駐車場の右手には、街灯の光から外れた、薄暗い闇の中に墓石がおぼろ気ながら確認出来る。


駐車場の奥に墓園を囲む遊歩道。そしてまだ刈り取られていない草が、サワサワと風も無いのに揺れている。


「やだな。何で墓場の隣に 駐車場を作るんだよ。」

男は怖さを隠す様に、一人ぶつくさと文句の言いながら、愛車へと向かった。


ふと、遊歩道の草むらの中に、淡く青白い光が揺れているのが目に入った。


「あれは、なに!」

男は恐怖と少しだけの好奇心で立ち止まり、揺れる光を見詰めていた。


ひかりは、まるで貴人の足下を照らす、ちょうちんの様に、静かに ゆっくりと動き、ある場所で、静かに消えた。その間の数秒間を男は立ち止まったまま、ひかりを、呆然みていた。


ふと、我に帰った男は恐怖に駆られて、急ぎ車に乗り、エンジンを掛け、急発進で車を走らせた。

一刻も早く、この場所から離れた為に。


後日、男は 再び ここに来てみると、墓場の奥に一際大きな墓が有り、たて札がある事に気付く。

たて札には、【戦国時代に、落城した お姫様がこの地で自害され、ここで慰霊をしている事。】


男は、この駐車場を二度と使う事は無かった。





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