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マジック・アート・オンライン~俺自身が伝説の男:キリ●だった!?~
マジック・アート・オンライン~俺自身が伝説の男:キリ●だった!?~
ももちく
ゲームVRゲーム
2025年07月18日
公開日
1万字
連載中
大学3回生の佐藤輝は伝説の男:キリ●になる野望を抱いていた。 そんな彼は願っても無いことにデスゲームに巻き込まれる! マジック・アート・オンライン(フルダイブVRMMO)の世界でデスゲームが行われる! 伝説の男:キリ●になりたい佐藤輝であったが、そんなことは序盤から否定された! 色んなタイプのJCが強引に仲間になってきたからだ! ツンデレの金髪ツインテールの高橋楓 「テルお兄ちゃんはあたしがいないとまるでダメなんだから!」 ヤンデレの黒髪ポニーテールの田中百合香 「さあ、ゴールインしましょう! テル師匠と一緒にイクのは私だけの特権!」 計算高い妹キャラ全開のピンク髪の鈴木桃子 「ぼく、ダーリンに守ってもらうから戦闘スキルなんて取得してないよ~」 ソロ活こそが伝説の男になるための必須条件だったのかもしれない。しかし、それすらも飛び越えて、いきなりJCハーレムを形成したのが佐藤輝だった! youtube配信は大炎上! JCに手を出せば犯罪者! 佐藤輝のデスゲーム攻略は最初から詰んでいた!

第1章:パクリゲー

第1話:デスゲームの始まり(1)

「はあはあ……電撃ネズミめ! これで最後だ!」


 佐藤輝さとうあきらはピカピカの電撃を放つ黄色いネズミの大群に囲まれていた。しかし彼の職業は陰陽師だ。万能タイプの魔法職であり、ゲーム序盤の雑魚の群れに屈するほど弱くない。


「急急如律令……使役術・破!」


 マジック・スキルを発動すると同時に佐藤輝さとうあきらの目の前に3個の五芒陣が描かれる。そこから虎が3匹飛び出し、ピカピカー! と吼える黄色いネズミたちを瞬く間に駆逐していく。


 佐藤輝さとうあきらを囲んでいたピカピカのネズミたちがチュー! と鳴き声をあげて、その場から退散していく。


「ようやく……βテストの敵を全部……倒したぜ」


 疲れがドッと身体に押し寄せる。さすがはフルダイブVRMMOだ。ゲームの中だというのに、如実に体力を削られた。


 佐藤輝さとうあきらがプレイしているゲームの名はマジック・アート・オンライン。


 それはかの伝説のソ■■■■■オンラインのパクリと呼ばれたフルダイブVRMMOだった。開発サービス本社はK国に所属している。さすがはK国。恐れを知らない国だ。


 そんなことよりも佐藤輝さとうあきらは純粋にマジック・アート・オンラインのβテストを楽しんだ。


 寝食を惜しんで誰よりものめり込んだ自信がある。三日間に及ぶβテストで一番の成績を叩き出したつもりだ。


 その甲斐もあって、運営から特別なシステムメッセージが届く。


"βテストクリア、おめでとうございます"

"あなたにはゲーム開始時にyoutubeで生配信を行う権利を与えます"

"是非、このゲームの素晴らしさを日本国に広めてください"

"西暦2036年7月15日。日本時間18:00からの正式サービスをお待ちください"


 やった! と両腕を振り上げた。自分のゲームの腕を運営チームに認められたことが嬉しくてたまらない。


 正式サービス開始日では選ばれた100人だけがyoutubeでマジック・アート・オンライン内を生配信できる。チャンネル登録者数100人前後の自分だが、それでも嬉しいことには変わりない。


 正式サービス日まで残り三日間。佐藤輝さとうあきらは準備をしっかり整えた。自分は一介の大学3回生だ。学業は必要単位取得のみに絞り、バイトをいくつか掛け持ちしている。


 バイト代はゲーム購入に消えている。ボッチ飯の自分の唯一の趣味と言えば、ゲームだけだ。ゲームだけが彼女いない歴=年齢の自分を癒してくれる。


 30万円もする電脳ヘルメットを外し、そっとベッドの上に置く。フルダイブの感覚を研ぎ澄ませるために自分はパンツ一丁の姿だった。


 そのままの恰好でスマホを手にして、予定帳アプリを立ち上げる。


「えっと……7月15日に入っているバイトは楓の家庭教師だけだな。よし、今のうちにキャンセルの電話を入れておこう」


 スマホを操り、高橋楓たかはしかえでと電話をする。電話の向こうからはしょんぼりとした彼女の声が聞こえてきた。


「テルお兄ちゃん。この埋め合わせはしっかりとしてもらうんだからねっ!」

「ごめんごめん。どうしても外せない用事が入っちまって」

「もしかして……女性と遊びに行く予定?」

「俺がモテるように見えるか?」

「見えない」


 たはは……と苦笑いしつつ、電話を切る。ゲームのために家庭教師のバイトを休むとは口が裂けても言えない。


 高橋楓たかはしかえでは中学2年生の女子だ。夏休み前の定期テストも先週終わっている。


 こちらとしても憂いはない。マジック・アート・オンラインのサービス開始の日からプレイするために家庭教師のバイトを休んでも良いだろうと判断した。


「さてと……他に済ませておくべきことと言えば……そうだ、大家さんに家賃を払っておかないと」


 佐藤輝さとうあきらは半ズボンを履き、Tシャツを着る。財布から茶封筒に1万円札を数枚移動させる。


 その茶封筒を持って、部屋から出る。突き当りの階段をかっこんかっこんとリズム良く降りる。


 このアパートから道を挟んで建っている一軒家に向かう。この一軒家に大家さん一家が住んでいる。


 大家さんの家の玄関にたどり着くなり、インターホンを鳴らす。すると、若すぎる女性の声がインターホン越しに聞こえてきた。


「どのような用件ですかー?」

「えっと……この声は桃子ちゃんかな? 俺だよおれおれ」

「おれおれ詐欺さんですねー?」

「ちがうよ!? 佐藤輝さとうあきらだよ!」

「あっ、ダーリン! ボクに会いに来てくれたんだねー!?」


 玄関の向こう側がドタバタと騒がしくなった。大家さんの一人娘である鈴木桃子すずきももこが急いで玄関にやってきているのであろう。


 ガラガラ! と玄関が横にスライドする。その向こう側には茶髪のぽわぽわボブヘアーがトレードマークの鈴木桃子すずきももこが目をキラキラさせていた。


 こちらは彼女の勢いに押されて、たじたじとなってしまう。学校から帰ってきたばかりなのだろう。制服姿のままで、こちらにどんどん近寄ってくる。


 中学1年生とは思えないほどの美少女だ。これであと5年もすれば、アイドルグループに所属していてもおかしくないと思えてくる。


「今日はどうしたの? ダーリン♪」

「えっと……今月の家賃を大家さんに渡しておこうと思って」

「な~~~んだ、そんな用事なの~?」

「いや……大事な用事だと思うけど!?」


 手に持っていた茶封筒を鈴木桃子すずきももこに手渡す。桃子が茶封筒かお札を取り出し、ひいふうみいと数えている。


「うん。お釣りは無しね♪」

「ああ、ちょうどだ」

「ところで……今度の金曜日、7月15日の夕方頃って……暇してる?」

「うーーーん。忙しい! ごめん!」

「そう……なんだ」


 桃子の声のトーンがあからさまに低くなった。申し訳ないが、いくら桃子からのお願いがあろうが、7月15日はマジック・アート・オンラインをプレイしなければならない。


「それじゃ……今度、埋め合わせはするから! ごめん!」

「うん……ダーリン」

「な、なに?」

「お別れのチュー」

「そんな仲じゃないでしょ!?」


 中学生相手に困り果ててしまう。桃子の父親とはオンラインプレイできるゲームでたびたび遊んでいる。


 その縁もあって、一人娘で中学1年生の桃子とお近づきになっているが、彼女彼氏として付き合っているとかそういう関係ではない。


 もし、桃子とそんな関係になっていれば、今頃、自分はおまわりさんに強制連行されているであろう。


 自分は常識ある大学生だという自負を持っている。桃子と別れを告げて、アパートの自室へと戻る。


「えっと……家庭教師のバイトに休みを入れた。住んでいるアパートの大家に今月の家賃を支払った。これで後顧の憂いは全て……あっ、7月15日の夜8時に合気道の道場に通う予定を忘れていたぞ!?」


 しまったという顔になってしまう。なんでこうもゲームの邪魔をする予定が15日に入っているのだろうと思ってしまう。


 急いでスマホを手にして、合気道の道場へと電話をかける。電話先からおどろおどろしい声が聞こえてきた……。ゴクリと息を飲むしかない。


「うふふ……私は何でも知っているわ」

「えっと……もしかしてすでに把握済みですか?」

「そう……私はテル師匠のストーカーですので」

「冗談だとしても怖いよ!?」

「冗談で済むと良いんですけどね?」

「今度、埋め合わせするから、許して許して……」


 電話先の人物は中学3年生の田中百合香たなかゆりかであった。彼女は15歳とは思えないほどに妖艶であり、佐藤輝さとうあきらのストーカーだとうそぶいている。


 彼女からストーカー被害を実際には喰らってはいないが、自分しか知り得ない情報をいくつか握られている……。


 田中百合香たなかゆりかは強い男が好きなようだ。合気道の組手で彼女を一方的に打ち負かしたのは佐藤輝さとうあきら本人である。


 それ以来、彼女からお師匠様と呼ばれるようになった。自業自得とはまさにこのことである。


 なにはともあれ、マジック・アート・オンラインをサービス開始日からプレイするための準備は整った。


 あとは三日後の18時まで裸待機するだけである。3人の女子中学生たちに埋め合わせをする約束をしてしまったが、今はゲームに集中したい。


 そんな自分の浅はかな言動が過ちであったことを三日後に散々味わうのだが、この時の佐藤輝さとうあきらは予想だにしなかった……。


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