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FLOW〜引退した初代世界1位の元プロは、『無名の新人』として0から世界を獲りに行く〜
FLOW〜引退した初代世界1位の元プロは、『無名の新人』として0から世界を獲りに行く〜
もかの
ゲーム配信・ゲーマー
2025年07月18日
公開日
1,475字
連載中
初代世界大会で優勝した俺、八神翔(やがみかける)はとある事情でその後姿を消していた。 ある日、久しぶりに大会で無双してちやほやされたいと思い、めちゃくちゃ魅せプしたが、うっかりサブ垢でやってしまい…… その結果、『期待の新人』として騒がれ、VTuberとしてスカウトされてしまう!! 違う……『最強の復活』として騒がれたかっただけなのに…… でも、こうなってしまったからにはVTuberとなって1から無双してやろうではないか!!! ※VTuber要素は他作品と比べて少なめです。FPS大会の話がメインとなっています。 カクヨム様にて多数実績を獲得! 日間ジャンル別1位 週間ジャンル別1位 月間ジャンル別1位 年間ジャンル別10位 カクヨムコン10エンタメ総合日間1位 カクヨムコン10エンタメ総合週間1位

元プロさん、魅せプ無双する

第1話 元プロさん、ミスる

elle:おい聞いてくれよアミア

aMa:おうどしたイルゥ!!!!よ

elle:エルな

elle:どんな巻き舌してんねん。ってか、『!!!!』が付いてるせいで酔っ払いの奇声にしか見えないんだわ


elle:ま、それはそれとして、俺めっちゃ面白そうなこと思いついたんだが

aMa:な、なんだってぇー!?

elle:と、いうわけで、俺たちの仲は5年で終わりということで

aMa:さらばだイルゥ!!!!よ

elle:引き止めてくれよ


elle:んでさ、なんかもうすぐ【FLOW】のアジア大会の予選あるらしいじゃん?

elle:そこで俺が久々に無双したらおもろそうじゃね?って思ってさ

aMa:あーね

aMa:んでもって、デュオ大会だから俺と一緒に出て欲しいと

elle:そゆこと


aMa:俺はいいけど、エル戦えんのか?

aMa:このゲームもう3年くらいやってねーだろ

elle:いや実はな、1ヶ月くらい前からサブ垢でまたやりだしてな

elle:今チャプターいろいろおもろいしやりてーなって思って

aMa:そゆことか


aMa:ま、俺は誰ともアジア大会出るつもりなかったし、そういうことならいいぜ

elle:マジで? さんきゅー

aMa:まぁ俺もこのゲームやるの2年ぶりなんだけどな

elle:マジかよおい

elle:までも、アミアならできるだろ

aMa:まぁな


aMa:てか、俺は本垢でやるのか?

elle:もち

elle:『夢の最強タッグ、まさかの復活!?』って騒がれてー

aMa:下心丸出しでウケる

elle:バレたか



 そのメッセージが送信されると、elleこと俺──八神やがみかけるはサブモニターでチャットツールDescodeを表示したまま、メインモニターで大人気FPSゲーム──FLOWを起動した。


 シンプルな仕組みながら奥深いこのゲームは、リリースされてから5年経った今も人気が途絶える気配は無い。

 それどころか、「プレイヤーが増えてるのではないか?」と疑問を持つレベルだ。


 ゲーム起動のロードを終えると、「アカウントを選択してください」という文言と共に、2つのアカウントが表示された。


 左には、世界で俺しか持っていない、【FLOW初代世界王者】のバッジがついたアカウント──『elle』。

 右には、初心者同然でなんの特徴もないアカウント──『Ray』。


 俺は3年ぶりに左のアカウントからログインし──ようとすると、ピロンと通知音がなったのでサブモニターに視線を移した。



aMa:あと10分で始まるらしいから通話するぞ

elle:おけ

elle:あでも待って

elle:トイレ行ってくるわ

aMa:早めに済ませとけよ……俺も行ってくるわ

elle:人のこと言えねーじゃねえか



 俺はゲーミングチェアから立ち上がり、トイレに向かった。


 その後、ついでに水分補給やらなんやらも済ませてから、自室に戻った。


 すると、サブモニターはちゃんとついていたが、メインモニターの画面は真っ暗になっていた。


「そうだった。ログイン画面で置きっぱにしてたら、スリープモードになるんだっけか」


 独り言のように呟きつつ、俺はメインモニターを再び起動しFLOWにログインしつつ、Descodeに目をやった。



aMa:おいエル

aMa:あと2分で始まるぞ?

aMa:まだか?

aMa:ねえねえねえねえねえねえねえねえ

aMa:おーい



 ……うむ、完全にゆっくりしすぎたな。



elle:ごめ、生命活動してた

aMa:何カッコつけてんねん

aMa:っていうか、それはもう絶妙にダサいだろ

aMa:それよりはよ通話こい



「こんこんきーつね」

『なに元気に著作権引っかかりそうなことしてんねん。急げって!』

「ちょ待って、手だけはちゃんと動かしてるから」

『マジじゃん、クリック早すぎだろ』


 カチカチカチカチ、とコンピューターを急かすようにクリックする。


『おい無双するならマジで時間無いって!!』

「ごめんて、もうすぐ行けそう」


 お、やっとロードが終わった──!!!






 そして、俺は慣れた手つきでのアカウントからログインした。

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