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3.【タイムリープ】

======== この物語はあくまでもフィクションです =========

ここは、『カアの国』。

俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

おっと、勢い余って、ついでにタイムリープもしてしまったようだ。

タイムリープとは、『時間移動』のことだ。


最高裁判所法廷。

裁判長が判決を読み上げている。

「主文。被告を死刑・・・。」


死刑判決か。

俺は、国会図書館に移動し、本来の時間軸から、この時間軸までの、この国の様子を追ってみた。

『3年前の元総理暗殺事件の最高裁裁判が10月に行われる』と新聞記事があるので、3年前の事件を調べてみる。

当時の総理多部新造氏が、素人の爆発物で命を落した、とある。


気になるので、その時間軸の現地に跳んでみた。

随分、手薄だなあ。これが総理の警備?幾ら急ごしらえと言っても、コレじゃ新人演歌歌手の新曲キャンペーンだ。


少し離れたところで、『俯瞰』してみた。

あの被告が、警察官に促されて、爆発物を爆破、総理は倒れた。


ちょっと待って。時間を巻き戻すと、あのビルにも、あちらのビルにもヒットマンらしき連中が狙っている。

聴衆の中の、主婦っぽい女が何か合図を送った。

警察官の1人が、あの被告に目で合図を送った。

あの被告は、爆発物を爆破した。

何か、跳んだように見える。改造銃か。


そして、警察官SPが、あの被告を取り押さえた。

指示をした警察官も一緒になって、取り押さえた。

主婦っぽい女は、口角を上げると、ゆっくり現場から去って行った。

現場は混乱した。

すぐに駆け寄る、総理のスタッフ。

聴衆の1人が、救急車を呼んだ。


目立たない民家から、警察の制服を着た男が、一旦、現場とは反対方向に走り、一呼吸置いてから、現場に走った。

口元には、笑みを浮かべている。


元の時間軸に戻る前、国会図書館で気になったことを調べることにした。『模倣犯』だ。

模倣犯は殺人ではなく、殺人未遂だった。


そして、あの被告より前に裁判が結審した。


更に、あの被告の裁判。


戻ると、被告は叫んでいた。


「死刑にならないって、言ったじゃないか!!」

被告の視線の先には、傍聴席から出て行ったのは、事件の時、民家から出てきた男だった。


俺は、奴を追った。

奴は、国会議事堂近くの議員会館の一室に向かった。

プレートには、『徴収庁特別室』と書いてある。


「終ったよ、裁判。これで、クーデターの準備が進むのかね?」

奴らの計画は、奴ら自身で語ってくれた。奴らは隣国人だった。


あの被告の、大規模なデモが全国で行われ、その隙に、現大臣反対派議員を皆殺しにする積もりだ。そして、国会議員・内閣は全員隣国人と入れ替わる。


俺は、一気に状況を変えることを決意した。


元は、次元が違えど、ここの国の民と同じ血だ。


事件の時間軸に戻り、あの被告の爆発物に仕掛けをした。

爆発しなかった。それどころか、爆発物は無くなった。


色んな人間がおたおたし始めた。

台本にない事態が発生したのだ。


元総理は、死ななかった。


元の時間軸に戻った。

現・総理多部は、在留外国人に「外国人税」を課した。

帰化した他民族は、この国の民族に「準ずる」「権利」「義務」を与えられた。


「初めての憲法改正」は、色んな法律に影響を与えた。

最早、「心の性別」や「婚姻差別」を言う者はいなくなった。


この先、どうなるかは分からない。歴史に干渉しすぎ?

俺はタイムパトロールじゃない。


俺は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。今回は、「殺し屋」どもを殺した。


誰からも報酬は出ない。ボランティア活動だ。


どこからか、「願い」が届けば、俺は出向く。

どうするかは、俺次第だ。


さあ、次の次元に跳ぼうか。


―完―



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