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御曹司の美しい継母に転生しましたら、楽々で最高
御曹司の美しい継母に転生しましたら、楽々で最高
木漏れ日
恋愛現代恋愛
2025年07月25日
公開日
7.8万字
連載中
石野 夏末がとある小説に転生した。 普通、転生したら、イケメンとデートしたり芸能人になったりするのに、 夏末の場合はなぜか17歳の御曹司の継母に!? 「無理無理、逃げたい!」……と思ったら、え? 偽装夫婦で月50万円のお小遣い、カード使い放題? 急にやる気が出てきた! 周囲は冷ややかだった。 「継母なんて所詮形だけよ。石野社長が息子の世話係として娶っただけじゃない」 だが披露宴の日、メディアが集まる中で夏末は社長の首に腕を回し、甘えた声でこう囁いた。 「ダーリン」 石野社長は深い眼差しでその細腰を引き寄せ、噂を一瞬で打ち消した。 すると今度はこう囁かれた。 「所詮頭が空っぽの女だよ、顔だけが取り柄で」

第1話

第1章石野卓也が浴室から出てきた時、浴衣は緩く掛けられていた。


昏かりの中、肩幅の広い逆三角形のシルエットが起伏し、水玉が鎖骨から襟元へと滑り落ちた。


室内には微妙な雰囲気が漂っている。


ベッドの縁に寄りかかる石野夏末は、シルクのネグリジェでその体がさらに美しく見えるようになった。


「卓也さん、本当に私に興味ないんですか? ここまでしても…」甘ったるい抗議の途中、彼女は突然動けなくなった。


視界が真っ白に染まり、気がつくと全く違う世界にいた。


今、夏末の前にいるは、小説の主人公であり、夏末の継子の実父であり、実業家として名を馳せる石野卓也その人だった。


逆光で輪郭が霞む卓也の周りは、凍りついた空気に包まれている。


最悪の状況だ!


卓也の視線はベッドサイドテーブルを掠め、赤ワインの隣に無造作に置かれたコンドームへと落ちた。


「契約を交わして三十日も経たないうちに、違約して離婚する気か?」その声は冬の風のように冷たかった。


契約書にはっきりと記されていた。


偽装夫婦が、真の体の関係は持たない、と。


夏末は指の関節を噛んだ。


この体の元々の持ち主が石野家に嫁いでから一ヶ月余り。


つまり継子の石野琉生はまだ十七歳だ!


小説での夏末が放り出される結末を思い出し、思わずシーツを握りしめた。


「離婚なんてしません!」羽毛布団を蕾絲の寝巻きに巻きつけながら言った。「昨夜は酔っぱらって訳の分からないこと言ってました」


「本気か?」

卓也の視線が夏末の顔に意味ありげに注いだ。


「本当です!」夏末は力強くうなずいた。


離婚するわけがない。


旦那様が圧倒的に格好良いからでも、小説の主人公を継子に持てたからでもない!


ぜいたくな暮らしができるからだ。


卓也が浴衣の帯を解くと、鍛え上げられた上半身が夏末の視界に飛び込んだ。


マットレスが沈み、清冽なシーダーの香りが押し寄せた。


「寝よう」低い声とともに、スタンドライトが消えた。


暗闇の中で夏末の体は張り詰めた弓のように硬直していた。


夜明けの光が差し込む頃、ようやく眠気に抗えず意識を失った。


目覚めたのはお昼近くだった。


素足で桜ヶ丘ヒルズの本邸を駆け抜けると、ペルシャ絨毯の先に八つの寝室と十二の客間が広がる。


窓の外にはプライベートプールがきらめき、温室では珍しい観葉植物の葉に朝露が光っていた。


「前世では、300年働いていたら、買えない邸宅だ」夏末は呟いた。


前世では、外資系企業で重役にまで上り詰めたのに、タワーマンションの頭金すら貯められなかった。


それが今では——結婚のプレッシャーも? 家のローンも? 人生の悩みが一瞬で消え去った!


「わあ!」

「このテラス、前世で借りてた部屋より広い!」

「贅沢すぎて罪だわ!」


後ろに控える小林執事は、新奥様のうきうきした言葉を面無表情で聞いている。


「ランチはガーデンテラスにご用意しました。お品書きのご指示がなかったため、和食と洋食を少しお仕立ていたしました」


十メートルのテーブルを埋め尽くすロブスター、トリュフ、マカロンタワーを見た瞬間、夏末は息を呑んだ。


これが「少し」?


これは紛れもなく豪華な宴だ


シャンデリアの光の下で執事が銀の食器を差し出した。


「奥様、どうぞごゆっくり」

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