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僕らは、ただ一つの愛を誓う
僕らは、ただ一つの愛を誓う
星空永遠
BL学園BL
2025年08月05日
公開日
2.7万字
完結済
中高生に人気沸騰中、ラノベ作家の『神崎紅』。 『神崎紅』の情報はほとんどが謎とされていた。 主人公である星ヶ丘高校に通う生徒会副会長の神崎冬夜(かんざき とうや)もまた『神崎紅』のファンだった。親友であり、星ヶ丘高校の生徒会長である如月紅蓮(きさらぎ ぐれん)に『神崎紅』の話をすると、「これ以上、神崎紅を好きにならないでほしい....」との意味深な言葉。 何事にも表情を変えない冷静沈着な如月紅蓮×傍若無人で俺様な神崎冬夜の淡く燃え上がるような恋物語。そして、『神崎紅』の正体は一体何者なのか....? ◇数年前に書いた作品なので今の文章よりも拙いです。小説家になろう、アルファポリス、エブリスタにて同作品掲載中。

第1話

「神崎紅(かんざき くれない)先生の新作読んだ?」

「読んだ読んだ! 今回は初のファンタジー小説で、すっごくドキドキしちゃった!」


 朝の教室、クラスは神崎紅先生の話題で持ちきりだった。


「ねぇ、神崎君と神崎紅先生って名字が一緒だけど、もしかして同一人物だったりする?」


「……そんなわけねぇだろ」


「だ、だよね」

「ごめんね、変なこと聞いちゃって」


 俺が教室に入り、鞄を置くと同時にクラスメイトの女子が話しかけてきた。


 俺は所謂、ギャル系女子があまり好きじゃない。だからこそ、冷たい一言と話しかけるなオーラを一気に放つ。


 俺の名前は 神崎冬夜 (かんざき とうや) 、星ヶ丘高校に通う高校三年生 。中学三年から高校二年までは、親父の仕事関係でフランス留学をしていた。


 黒髪で、身長は一般の高校生の平均より、かなり高く182センチ。親父も身長が高いせいだろうか? 気がつくと、ここまで伸びていた。


 さっきから、この教室の話題となっている神崎紅とは何の関係もない。


 神崎紅は俺と同じ高校生でありながら、かなり有名なラノベ作家である。高校生という以外の情報は謎とされているので、誰もが神崎紅の正体について知りたがっている。


 なんで俺が神崎紅について、こんなに知っているかって? それは、俺も神崎紅のファンだから。


 神崎紅のデビュー作『桜と6つの謎』、あれは普段、読書をしない俺でも続きが気になるほどの作品だった。タイトル通り、ジャンルはミステリーだ。他にも『眠るアンドロイド』『片翼の天使と優しき死神』など、数々の作品を書いている。


 文章だけで性別を判断するのは困難だが、神崎紅の作品はいずれも知性に溢れていると思う。これは、本を読まない俺個人の意見だが。


「おはようございます」


「あ、会長! おはようございます!」


「冬夜、おはよう」


「ああ、紅蓮か。……おはよう」


 一時間目開始ギリギリに教室に入ってきたコイツは如月紅蓮 (きさらぎ ぐれん ) 。


 この高校の生徒会長で、俺の中学一年からの友人。 今では親友と呼べるほどの仲だ。言い忘れていたが、俺も生徒会に所属している。


 ちなみに同級生でさえ、紅蓮のことを「会長」と呼んでいる。それもこれも、何事にも表情を変えない、仏頂面が原因だと俺は思う。


 黒髪で、身長は174センチと俺よりも八センチほど低い。紅蓮に身長のことを言うと、「身長の話はしないでほしい」と言われるので、本人も気にしているのだろう。


 だが、男の俺からしても、紅蓮はかなりの美形だと思う。実際、女子からの人気は高く、本人である紅蓮には声はかけられないけど、紅蓮のことを好きな奴は数多くいる。


 星ヶ丘高校の生徒会は成績が上位の者から、生徒会に所属する権利を与えられるシステムがある。


 故に生徒会なんて面倒だと考えている俺でも、中学の頃から学年二位という優秀な成績を修めれば、自然と生徒会役員に入れるわけで……。


 本当は辞退したいほど嫌な生徒会だが、生徒会長直々に俺を副会長に推薦したので、親友である紅蓮に恥をかかせるわけにも、頼みを断るわけにもいかず、俺は今年の四月から生徒会副会長として、紅蓮のサポートをしている。


 そして、金持ちばかりが集う学校で、社長令嬢や御曹司が数多くいる。俺も自慢するわけではないが、それなりに裕福な家庭だ。むしろ金銭的に困っていて、特待生の生徒は、この学校だとほとんど見かけない。


 因みに、生徒手帳の一番最初には大きく「恋愛禁止」の文字がある。とはいえ、恋愛をする者が全く居ないわけがない。


 高校生という年齢を考えれば、恋愛をしたい時期だ。金持ちが集う故に、ほとんどの者は高校に上がると同時に、親同士が決めた婚約者がいて、同年代と付き合う人は数少ない。


 星ヶ丘高校の生徒は、一般受験をする者は少なく、AO入試や所謂コネ入学など、後はその高校付属の大学にストレートに行く者が多い。その中でも県外の大学に行くのはよっぽど勉強したい奴らだけ。


 だから高校三年の七月上旬でも、お受験モードというものは一切なく、高校最後の夏を楽しんでいた。

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