夫、ドンソク。
あのごっつい、有名な「マ・ドンソク」じゃないよ。
「パーク・ドンソク」なの。
ソウル出身。イケメン……とまではいかないか...
正直に言うと「雰囲気イケメン」止まり。
でもね、ドラマチックな出会いって不思議な補正がかかるのよ。
すべては、あの一夜から始まったの。
なんばの居酒屋で友達と女子会の時だった。
串カツつついてチューハイ飲んで、女子トーク炸裂させてたら――
隣のテーブルから、聞き覚えのある響きが聞こえてきたのよ。
そう、韓国語!
私、その瞬間スイッチ入っちゃって、即食いつき。
「え!韓国の人ですか?」
そしたら彼、にっこり笑って
「そうです、旅行に来ました」って。
その笑顔に、私のテンション爆上がり。
「えーー!めっちゃ楽しそう!私も行きたいなーソウル!」
思わず言ったら、彼がサラッと返すのよ。
「ホントに?じゃあ今回大阪を案内してくれたら、ソウルは僕が案内しますよ」
……ちょっと待って。
このセリフ、完全にドラマの胸キュン台本でしょ!?
誰が書いたの!?神シナリオ!?
「え!マジで?するする!え、お名前は?」
「パクです」
……パク?
パクですって??
「パークさん!?あのパークさん!?」
そうなの。
私、ついに出会っちゃったの。
憧れの“パークさん”に。
まぁ、顔はちょっとだけ名前負けしてたのは否めないけど。
でもその夜の私は、そんなことどうでもよかったの。
で、ノリでこう言っちゃったのよ。
「ねえねえ、一緒に乾杯しよう」
すると彼が――まさかのあのセリフ。
「이거 마시면 우리 사귀는거다」
(これ飲んだら、俺たち付き合うんだ)
ちょっと待って!?
出たよ出たよ、ウソンさんの名言!
よりによってここで!?
もう私、理性とか完全に飛んでった。
「飲む!飲む!カンパーイ!」
って叫んで、即一気飲みよ。
その瞬間、友達が
「ちょ、アユミ!?早すぎ!」って大爆笑。
隣の韓国男子たちも「オォ~~~!!」って大盛り上がり。
気づいたらテーブルくっつけて、日韓合同飲み会が始まってたの。
チューハイにマッコリに
日本語・韓国語・カタコト英語まで飛び交って、もはや大盛り上がり。
そして私は――その混沌の真ん中で確信したの。
(あ、恋に落ちっちゃうかも...)