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Ashes of Twilight ~凄腕ゲーマーはロールプレイがお好き?~
Ashes of Twilight ~凄腕ゲーマーはロールプレイがお好き?~
野干かん
ゲームVRゲーム
2025年08月20日
公開日
1.3万字
連載中
最新フルダイブ型VRMMO、Ashes of Twilight。 秩序と混沌が鎬を削る「黄昏の灰域」へキミも向かおう! 新作VRMMOにダイブしたのはロールプレイ好きの少女、夏梅八百(なつめ やお)。 イケオジアバターを制作し、出自は「犯罪者」で種族は吸血種。 自由気ままな彼女のゲームライフが始まる。 カクヨムにも掲載中

1話 AoT

[起動中……]


>接続デバイススキャン中…

 接続コンソール:NESTECH CM

 神経接続デバイス:K-NexS

 スキャン完了


>精神リンク:安定

 接続開始…

 接続完了


>ID認証中…

 ID:YAO NATSUME [**************]

 認証完了


>DownerInterface v14.2

 有効化完了


〈ようこそ、アッシュズ・オブ・トワイライトへ。〉


(おぉー!始まった!初めてのフルダイブ対応ゲーだからちょっと緊張したけど、…問題はないかな?)

 開かれた生体モニタリングに異常な点はなく、ヤオは安堵の息を吐き出しながら、体を動かしてみる。

旧型セミダイブと比べると、めちゃくちゃレスポンスがいいね。…左目が見えちゃってて違和感が凄いから…設定は…これかな)

 左目の視認力を0%まで引き下げることで視力が失われ、ヤオにとって普段通りとなる視界が訪れる。

(聴覚は、音量の平均化を。触覚は最低値から調整してと…、今はこんな感じで、あとあと調整すればいいや!さあさ、キャラクリキャラクリ〜)

 初期設定を終えれば、キャラクタークリエイトの段階へ。

(先ずは陣営。えっと…『フェデル』が秩序側で、『ユオン』が混沌側だよね。マリーはユオンって言ってたはずだから、私も同じ陣営にしないとね!)

 ヤオの目の前に現れたのは、痩せっぽちな少女の姿。現実での姿が参照され、一時的に表示されるのだが…一切のお構い無しに性別を男へと変更。

(種族設定かぁ〜。今回はスタンダードな感じで〜…)

 キャラクリよりも、ゲームそのもので遊びたいのだろう。4つある選択肢からちゃっちゃかと種族を決め、見た目の調整へと移っていった。

 190cm程で細身ながら筋肉質な身体。

 カイゼル髭を蓄え、紳士的ながら粗野なオッサン…いやオジサマなアバターを手際良く作り出し、左目を覆う眼帯を装着すれば完了となる。

「ユーザーネームは、いつも通りY40ヤオで!…いや、違うな。あー、あー、よしっ、吾輩はY40だ」

 ボイスチェンジャー機能を有効化し、渋いイケボへの調整を行い、それに応じたロールプレイを始める。

(それじゃあステータスとかだけど…ん?。ジョブを決めたりとか、ポイントを割り振ったりはない感じ?)

 表示された項目は「出自」と「解奪者」という項目のみ。

「吾輩の出自、かぁ…。出自ごとに初期の武器とスキルが変化するが、必要であれば習得可能、と。…ならばここは」

 選ばれた出自は、「犯罪者」。


>初期武器:赤鰯あかいわしのナイフ

 威力が低い代わりに、低確率で出血効果を引き起こす。

 『刃こぼれし錆も浮いている、しかし使えないわけではない。むしろ――』


>初期スキル:悪い手癖スティッキー・フィンガーズ

 不特定のタイミングでアイテムを入手することがある。

 『これらを何処から手に入れたって?…さあな、自然と手に収まってるんだ』


(ふむ。出血異常を付与するナイフと、スリか…運よくアイテムが手に入るスキルってところかな?)

 悪くないかも、と納得し項目を移る。

「次は『解奪者カーオクセン・ヴァパウッタヤ』、………へぇ、オンオフができる、デメリットとトレードオフのランダムスキルってことね。ゲーム開始まで分からないのはちょっと不安だけど、勿論オン!…ちがうちがう、コホン。……勿論、有効だ」


〈このスキルは任意に無効化できますが、再度有効化するには24時間を必要とします。〉


>有効化


〈設定は以上となります。設定に変更がなければ、正面の扉からお進みください。〉


 ヤオの目の前に表示されていたアバターが消え、扉が一つ現れれば、一切の躊躇なくドアノブを回し、新たな世界へと踏み出した。


―――


 扉をくぐった先。ヤオが目にした世界は、綺麗な星々が見下ろす夜闇の街並み。

(木と石で作られた家々、オールドファッションなファンタジーの定番だね!)

「すぅー、うぅわぁ!?っむ!?温感設定下げないと!!」

 オプションを開いたヤオは、感覚調整から温度の数値を引き下げて、ほっと胸を撫で下ろす。

 ゲーム内という事もあり、肉体が凍死することはないのだが、不快なものは不快。

 過度の精神ストレスは健康に影響を及ぼす、適度に調整を行い快適なプレイを心がけよう!

(もうちょっと事前情報を調べとくべきだったかな。…でも、ワクワクを大事にしたかったし。…とりあえず、マリーにセルフィーを送ろっと)

 壁に寄りかかりポーズ決めたヤオは、フォトモードを起動し、スクリーンショットの撮影を行なってから友人へ送信した。


 ヤオ

〈…画像送信〉

〈いつも通りY40で始めたから今度一緒に遊ぼうよ!〉


 マリソル

 ……入力中。

〈またオッサンじゃん :< 〉

〈まあいいや。今からボス攻略するし、その後は寝ちゃうから明日遊ぼうぜ〉


 ヤオ

〈オッケー!そっちの17時頃に連絡するよ!〉


マリソル

〈 ;) 〉


「くくっ、それじゃあ始めるとしよう」

 ヤオは一人呟き、歩き出す。


―――


(他のプレイヤーがいる雰囲気ないけど、独自の空間インスタンスを割り振られてる感じかな?…それにしてはチュートリアルもストーリーも始まらないけど)

 錆が浮いて刃こぼれした質の悪いナイフを眺めながら、ゆっくりと街を探索する。

(凍みて寂れた街、ここは雪国、なのかな?)

「グォォオオ!!」

「?!」

 無数の羽撃き音と鳴き声が響き渡り、視線を向ければ三頭のワイバーンが、四頭掛けの馬車を追いかけている最中だった。

(おっ、もしかしてチュートリアルかな?近くを通り過ぎるみたいだし、様子をうかがっちゃお)

 NPCにぶつからないよう移動していくと、視界の端にテキストが表示される。


>獲得:ダーツ


(?。…あー、『悪い手癖』の。今はとりあえず―――)

 軽い身のこなしで家屋の屋根に登り、向かってくる一団を待ち構えた。

(よく見るとワイバーンに人が乗ってるね。襲撃者から誰かを守るイベントなら、あの三騎を倒す必要があるけれども…ナイフとダーツだけじゃなあ…。…でもイベントをみすみす見逃すなんて面白くないし)

 にやりと笑みを浮かべたヤオは、接近するワイバーンの一騎、その騎乗者へ向けてダーツを投擲する。

 それは綺麗な弧を描き、騎乗者の首へと命中。藻掻き慌てふためき地上へと落下した。

 一騎の足止めをしたとて馬車を追うワイバーン騎兵は二騎。落下した騎乗者に一瞥した後に馬車を追う。

(ナイスヒット!…でも、落花ダメージで殺しきれてはないし、確実に処理しよっか)

 ヤオは建物伝いに騎乗者の許へと向かい、赤鰯のナイフを振るって一撃を加えた。…のだが、刃こぼれした刃は、鎧に軽々と弾かれ、カンッと音を響かせるのみ。

「何者だ!」

「吾輩はY40、しがないこそ泥をしているものでね、そちらは?」

「この鎧を見ても理解できないとは…日陰ユオンの民は…。我はフェデル・ヴェリターブルのガルディアン・ダルジャン教の騎乗騎士、名までは必要あるまい?」

「…あー、うん。わかった、…多分」

「………。」

「…。」

 顔は兜で隠れていて見えないながら、なんとなく呆れた雰囲気が漂ってきて、NPCにすら呆れられる状況にヤオは居た堪れなくなった。

(……、さっきのダーツは偶然だったけど、鎧の隙間なら有効、なはず!―――、フルダイブコンソールは身体がよく動くね!)

 教導騎兵と名乗った男は、腰に佩いた剣を抜き取りヤオへと襲いかかるのだが、柳に風。ひらりと躱しきり、鎧の隙間を狙ってナイフを突き刺した。

「ッ!?」

「そんな物が通じるか、薄汚い日陰の民め!」

 ガリッと音を立てたのは、関節部に設けられた鎖帷子チェインメイル。ヤオの攻撃が通ることなく、顔を顰めていた間に剣での反撃を受け、右腕が切断される。


HPヒットポイント 38/100

>状態:右腕欠損、出血

>スキル発動:リジェネ


(欠損ありなのね。コンソール側で痛覚をオフにしてくれてて助かったよ。…だけど、右手ごとナイフも持ってかれちゃったし、どうするべきかな〜…)

「大人しく首を差し出せ。相手が日陰の民であろうと、不要に痛めつける気はない。御神に誓ってな」

 相手の言葉を聞き流しながら、剣の連撃を素手で受け流し、ジリジリと壁際まで押し込められると、羽撃き音が聞こえ、真上からワイバーンが襲い来るではないか。

「…。」

 地面を転がりながらワイバーンの急襲を回避し、石ころを拾い上げては攻撃へ移ろうとしていた教導騎兵へと投げつける。

「うおっ!?」

(石ころで怯んだ?…弾かれてる様子もないし、ダメージも入ってるはず)

 ニヤリと笑みを浮かべたヤオは、足元の土と石ころを巻き上げて、教導騎兵とワイバーンへと命中させ、怯ませた。

「隙あり!」

 ワイバーンのくらへと跨り、左腕で手綱を掴んだヤオは、わからないながらも無理繰り動かそうと試みる。


>熟練度によりスキル獲得:騎乗ライド(低級)

 低ランクの動物と乗り物に対する操作理解、技術向上。

 ランクの高い対象へは効果が低減、確率で失敗し暴走する。


>ワイバーン操作:失敗


「うわぁ!?」

(めちゃくちゃ、暴れる!暴れたいなら、暴れちゃいなよ!)

 暴れるワイバーンの手綱を無理繰り引いては、教導騎兵へと頭を向けさせて暴れさせる。

「やめろ!私が分からないのか!?う、うわ―――」

 ワイバーンは、人を乗せたうえで飛行を可能とする大きな体躯を有するモンスター、正面から突撃を食らえば金属鎧はひしげ、襤褸ぼろ雑巾のように転がって消滅した。


>獲得:花の証印ソー・ド・フルール


(よしっ!残り二騎いたよね!)

「行くぞ、ワイバーン!―――、うおああぁぁぁ!?」


>ワイバーン操作:失敗


 大暴れを始めたワイバーンにしがみつき、進行方向をすべて委ねる。

「うぐ、や…ったれ、やったれー!」

 残り二騎、その片割れへと襲いかかったワイバーンは、騎兵を蹴落としワイバーンの首に噛み付いて、叩き落とした。

「やるじゃん!あと一騎!いこう!」


>獲得:花の証印 ワイバーンの鱗

>ワイバーン操作:成功


「お!?なんか行ける気がする!!」

 手綱に力を込めれば、ワイバーンを我が物の様に動かせ、回頭し向き直った相手へと突撃を敢行する。

 大口を開けて向かおうとうとする相手の攻撃を、翼を折り畳ませ高度を落としてから翼を再展開、身体を立てさせて急加速を行う。

 相手の尻尾へと噛み付かせては身体を捻り回し、地上へと叩き落とす。


>獲得:花の証印 ワイバーンの鱗


「よくやったよ!!」

「うぎゃお!!」

 地上へと戻ったヤオはワイバーンから降りて、ご機嫌な表情でワイバーンの頬を撫でる。

「助かったよ。…君が良かったら、吾輩の仲間にならないか?吾輩は“Y”40わいよんじゅうでヤオ、君は“ワイ”バーンだから相性がいいと思うのだがね」

「…。」

 ギョロリとした瞳がヤオに向くと、視界の端にシステムメッセージが現れた。


>テイム中…

>…テイム失敗


「…まあこんなものか、何処へなりと行くがいい」

 ヤオがワイバーンから竜具を外すと、一瞥もせずに飛び去っていく。

(騎乗系ペットって、乗りこなすことでテイムできる感じ?今のって惜しかったのかな…まいっか!)

「折角助けたのだ、馬車が無事だといいのだけどね」

 馬車が向かったと思しき場所へと、ヤオは足を向けつつ入手アイテムを確認した。


>花の証印

 換金アイテム

 『信仰の奴隷野郎たちフェデル・ヴェリターブルが嬉々として飾る証』


(なんともまあ…悪意のあるフレーバーテキスト。ユオンとフェデルでは敵対的なのは確かだね、うん)


>状態解除:出血


(おっ、HPヒットポイントが回復し始めた。というかなんでリジェネが発動してるんだろ?…あー、なんだっけ、解奪者カーオクセン・ヴァパウッタヤ…とかいうスキルかな?)

 ステータスからスキル一覧へと移動すると、解奪者の項目があり詳細を確認する。


>解奪者:縫い針オンペルネウラ

 ・非近接攻撃が1ダメージに固定される。

 ・非近接攻撃が防御値を無視する。

 ・非近接攻撃が如何なる耐性をも無視する。


(違いそう。…でも、投石とダーツの怯みは、このスキルの影響だった感じかな?何かしらものを投げれば、確定で1ダメージ与えられる……土を蹴り上げた時に複数ヒットしてたから、小さい物をたくさん投げればダメージソースになるかな?)

 使い道のありそうなスキルに胸をときめかせていたヤオは、馬車の目の前まで辿り着いてしまい、とりあえず頭を切り替える。

「貴方はもしや、教導騎兵を倒してくださった方ですか?」

「如何にも。吾輩はこそ泥を生業としてるY40ヤオ。そちらは?」

 馬車から現れたのは、品の良い衣装に身を包んだ、小柄で犬獣人な少女。ヤオが名乗りを上げると、尻尾をパタパタと振り歩み寄ってくる。

(良い身分っぽいし)

 慇懃な礼を行うと、少女は居住まいを正し、礼を返す。

「私は小足族プオリヤルカイセットのペンテリと申します。此度は助けて頂き、誠にありがとうございました。まさか、フェデルの者がこちらまで来ているとは思ってもおらず…」

(おぉ、かわいい…!)

「フェデル、あぁ…あのワイバーン乗りの」

「ええ、遂に黄昏の灰域アッシュズ・オブ・トワイライトを越えて、こちらにまで姿を現すようになりました」

(なんか専門用語出てきた。えっと会話ログから、ジャーナルを開いて)


黄昏の灰域アッシュズ・オブ・トワイライト

 フェデル陣営とユオン陣営を隔てる紛争地帯。

 PvPエリアとして利用されている。


(あー、緩衝地帯ね。なんにせよ、こっちがユオンだし、フェデルから攻撃されてて困っているってのがメインストーリーなのかな)

「こういったことは多いのかね?」

「…この辺りでは初めてですが、黄昏の灰域へと近付けば多くなります。…その、奴らが再び現れた場合、私たちは対抗する術がありません。…不躾なお願いではありますが、ご一緒していただけませんか?」

「くくっ、吾輩でよろしければ」

「助かります。ここで私まで命を落としてしまったら、アルクラは…。いえ、何でもありません、無事に到着できましたら、お礼をいたしますので!」

「…。」

 ペンテリへ手を差し伸べ、エスコートを申し出たヤオは、触れた手の感触に眉を曇らせて馬車へと乗り込む。

「お腕が大変なことになっているので、私の方で回復いたしますね!」

「感謝する…あー、ちょっと待ってほしい!」

(回復されて、リジェネが消える前に確かめなくちゃ!)


>種族スキル(影足族ヴァルヨアスケリネン):リジェネ

 発動条件:月の出ていない時間 かつ HP60%以下

 一定時間ごとHPを回復。吸血行為を行った場合、効果が増幅する。


(あー、これか。スタンダードな種族選んだ心算つもりだったけど、吸血鬼ヴァンパイアだったんだね。ふむふむ、だけど…月の出ていない時間って、限定的だなぁ)

 リジェネを前提としたビルドを組み立てられる程ではないと、ヤオは片付けた。

「待たせて悪かった、回復をお願いできるかな?」

「お任せください!」

 ペンテリが回復魔法を使用すると、傷口が心地よい温かさに包まれ、腕が再生した。


―――


(全体的に暗いけど、建物とかの雰囲気は大昔のECF欧州共同戦線風で、21世紀の定番オールドファッション

「暗中の移動、なにか急用でも?」

「暗いですか?いつも通りだと思いますが…、そういえばこの時間は月が出ていませんね、月の信奉者ですか?」

「興味本位、といったところです」

 肩を竦めたヤオに、ペンテリは首を傾げていた。

 星明かりとランタンのみが照らす闇の中、馬車を牽引する馬の息は白く、御者は常に寒そうにしている。

 馬車内はほんのりと暖かく、外気と比べれば快適な場所ではあった。

 だが、これが普通という言葉に疑問を覚え、ヤオはジャーナルを調べていく。


夜を歩く者ユオン・クルケヤ

 日を見ることのない、常闇の半球に住まう者の総称。

 月の有無により、力の増減がある。

 略称はユオン。

 『闇と氷の民は、日に照らされた光の民を眩しんだ』


影足族ヴァルヨアスケリネン

 月のない夜を闊歩する吸血種。

 『影足族の足音を聞いた?ははっ、ならあんたはここにいないよ』


(ユオン側は、月の有無が昼夜の区分になる感じで、常に夜のワールドって感じかぁ。夜に適応しているっぽい視界だから問題ないけど、見栄え的にフェデルの方が人気出そう)

 そのまま馬車は何事もなく進んでいき、夜闇に煌めく大きな街へと到着した。


―――


[ アルクラの街 ]

 寒く雪の降る地域特有の傾斜がついた屋根、暖気を逃さぬよう分厚い壁。軒先の商店では火を焚いて暖を取りながら商売を行なっている。

 この街アルクラは、ユオン側のプレイヤーが必ず初めに訪れる街で、プレイヤーとNPCが入り混じる活気あふれた街並みとなっている。

「Y40様、ここまでのご同行、ありがとうございました。こちらは貴方様の身分を証明するキエロマーコイン、そして謝礼金の500ヴェリです」

「これはどうも、感謝する」

「いえいえ、本当に助かりました。もしお仕事をお探しになられたら、東にあるアヴセウラの屋敷までお越しくださいませ」

「心得た。…それでは吾輩は失礼する、幸運を」

「ご達者で〜!」

 ペンテリに背を向けたヤオは、初めての大きな街に心を躍らせ歩みだした。

(めっちゃプレイヤーがいる!これで他プレイヤーと合流できた感じかな)

 様々な種族や見た目のプレイヤーが歩き回り、雑談しじゃれ合っている風景は、オンラインゲームならでは。

 人混みを避けるように、街の見物をしながら歩いてゆけば、大きな広場は人がひしめき合っており、ヤオは眉間に皺を寄せて迂回する。

(触覚を下げてるとはいえ、人混みに揉まれるのはちょっと耐えられなさそう…。触覚とコリジョン衝突をオフにしちゃえば…、しても嫌かなぁ…)


(とりあえずフィールドに出て、レベル上げとかしようかな〜。さっきのイベント、経験値が入ってないから、レベル1のまんまなんだよね)

 そうと決まればマップを開き、大まかに周囲のエリアを眺める。

 アルクラの街周辺は遮蔽物のない平原であり、栄養のエの字も見て取れないヒョロッとした草が地面を這うだけの、寂れた風景が広がっていた。

 初心者のために、弱いモンスターが配置されており基本は単独行動。死亡しても直ぐに街で復活できるようになっている。

 街を飛び出したヤオは、いつの間にかポーチへ戻ってきていた赤鰯のナイフを手に、フィールドを探索し始めた。

(街の外へ出た途端、他のプレイヤーの数が激減した。…出ていく人数と合わないから、モンスターの奪い合いにならないよう、自動でチャンネルを切り替えてる感じかな)

 平原には痩せ細った狼が徘徊しており、他プレイヤーが武器を手に殴りかかっている。

 ひと目みて、「ダイブ型ゲームが初めてなんだろうなぁ」と思えるプレイヤーもいれば、明らかにVR慣れしてるプレイヤーも見かけられた。

 そしてヤオは後者であり、現実離れした動きでモンスターとの距離を詰める。

(敵の名前は…痩せ狼スキンファング。最初のフィールドにいるってことは、そんなに強くないでしょ)

 刃こぼれしたナイフで切りつければ、切れ味の悪さゆえの、確かな引っかかりの感触。そのまま振り抜くことで、痩せ狼の皮膚が切り裂かれ、のたうち回って消滅する。


>獲得:質の悪い毛皮


「はっ、これくらいなら全然!」

(アクションブーストは搭載されているはずだし、―――)

 踏み込んだ瞬間、ヤオは十数メートルを瞬時に移動し、次の獲物へと向かっていった。

(問題ない!身体を慣らせそう!)

 すれ違いざまに痩せ狼を蹴散らし切り刻み、経験値を得ていく。


―――


(おっ、新スキル!)

 何匹も痩せ狼を倒し続けたヤオは、新しいスキルの獲得に胸を躍らせ確認する。


>熟練度によりスキル獲得:刺撃スティング(ナイフ)

 ナイフによる突き刺し攻撃の際に発動。通常攻撃よりも少し威力が高く、怪我状態を付与する。

 クールタイム:12秒


>怪我状態

 行動をする度にダメージが入る。耐性に応じて、解除までの時間が変化する。


(初期武器もだけど、ナイフって状態異常系のスキルを入手しやすい感じで確定かな。痩せ狼は、最弱モンスターっぽいから簡単に倒せるけど、このままナイフスタイルを続けるなら、状態異常を活用しないと厳しくなりそう。…問題は状態異常に耐性がある相手と対峙するときだよね)

 などと考えていれば痩せ狼が襲いかかり、ヤオは小石の投擲で怯ませてから、蹴りで頭を潰す。

「徒手空拳も、アリかね」

 ナイフ、蹴り、投擲を絡めた戦闘スタイルを模索し始め、30分ほど試している内にヤオのレベルは4まで上がった。

(ステータスポイントの割り振り、どうしよっかな)


>筋力 HPヒットポイントの上限上昇

>精神 MPメンタルポイントの上限上昇


(分かりやすい基礎能力上昇系ね。安定性を増やすなら筋力)


>敏捷 スキルクールタイムに影響

>集中 バフ・デバフの効果時間に影響


(スキル関連、ダメージを稼ぐことを考えれば敏捷は有効かな)


>器用 ダメージのブレ幅が減少、与ダメージ下限上昇

>幸運 被ダメージのブレ幅増加、被ダメージ上限減少


(安定度の向上。被ダメの上限値を抑えられる幸運は、防御寄りのステータスだしタンク向けってところかな?)


>各種攻撃行動によるダメージは、適応したステータスに応じて増加します。

 ステータスポイントは、雑貨屋で販売されている「忘れ香わすれが」を使用することでリセット可能です。


(リセット可能と。…ナイフの要求値が[敏捷>幸運]だから、敏捷に振っとけば間違いないかな。…CTクールタイム軽減は腐らないし)

 ポイントを振り分け、狩りを再開しようとすると、視界の端にポップアップが表示され、顔をしかめる。


>パーティ申請

 申請プレイヤー:Lau Wmen Naon


(…見覚えのない名前だ。…とりあえずで、周りの人にパーティ申請送る人かな?)

 面倒くさそうに視線を回せば、少し離れた場所から手を振っているプレイヤーがおり納得する。

(…今はちょっとなぁ)


>拒否


 ヤオは、狩場を変えるべく走り出した。


―――


 そそくさと狩場を駆け抜けていったヤオは、街道を外れて森林地帯までやってきていた。

(初日なんだし効率なんて放り捨てて、世界を探索、堪能しないとね!…こういう落ちてる木の実とかもアイテム化するのかな?)


>獲得:トゲトゲの木の実

 『これを踏んだことはあるか?…オレは、…ある』


 踏んだら絶妙に痛そうな木の実。

 スキルの影響で近接以外の攻撃が1ダメージに固定されるため、他の木の実より攻撃力がちょびっと高そうでもあまり関係はない。

 だが、いつか役に立つかもしれないと、ポーチへしまい手当たり次第に拾っていく。

 ザッ…。

 枯れ枝を踏んだような音を耳にしたヤオは、即座に臨戦態勢へと移り視界を巡らせる。

 潜められた息遣い。…いつ来るかと覚悟していれば、眼帯をした左側面から物音が聞こえ、身体を捻りながら右眼で対象を追い、ナイフで攻撃を受け止めた。

 そこにいたのは、歩行を補助する逆L字の杖を得物とする狼系獣人。

 体は痩せ細っており、痩せ狼を思わせる風体。

 全身傷だらけながら、一番目を引くのは目を覆う漆黒の布。

 そして何よりも特筆すべき点。

(頭上にある赤いドクロマーク。これは危険な相手、エリートやボスモンスターの類いだったり、レベル差がある時の表記だよね。…両方かもしれないけど)

「吾輩はY40。君は両目を布で覆っているようだけども、吾輩も片目を眼帯で覆い隠している。…数奇な運命を感じないかね?」

「……。」

 唸り、吠えられるかと思っていたヤオは、何の返答もなく、ただ会釈をするかのように頭を垂れた相手に、満面の笑みを向ける。

「礼儀正しい相手は好みでね、君の名前は…」


光なき狼人ブラインド・ファング LV10

 無二の宿敵ユニークモンスター

 [ジャーナルの解除条件:討伐数1]


「光なき狼人、お手柔らかに頼むよ」

(序盤のエリアに配置されてる、ちょっと強めのモンスター!いいよね、こういうのワクワクする!)

 クールに振る舞いながらも、内心は興奮気味なヤオ。

 彼女はナイフを構え、木の実を投擲できるように準備し、強敵へ挑む。

「……。」

 スンスンと鼻を鳴らし、動き始めたのは狼人。一切の迷いなく杖を振るいヤオへと襲いかかるが、ナイフで受け止められて迫り合うこととなる。

(一撃一撃が重い、気がする。フルダイブは初めてだし、触覚のレベルを落としているけど、本能的に感じ取れる。膂力だけじゃなくて、何かある!)

 ナイフを傾け杖を流したヤオは、狼人へと足払いを行おうと体勢を下げるのだが、相手もそう易々と攻撃を受けてはくれない。

 飛び上がり、空中で身体を捻って杖に一撃をお見舞いする。

「ッ!」

 足場のない空中攻撃は威力が低下する。

 肩への一撃は大きなダメージを与えられないながら、攻撃の反動で距離を取られてしまう。


>HP 124/175


 スタッと綺麗な着地を決めた狼人は、ヤオの死角たる左側面へと回り込むように駆け出し、彼女は身体を回し相手を視界に収めるよう立ち回る。

(私の左目が視えてない、そう設定としていると理解した動き。…盲目っぽい設定だし、音で感じ取ってるんだろうけど、執拗に狙われると厄介だね!)

 攻め込んできた瞬間、ナイフで受け止めるフリをしながら、トゲトゲの木の実を投擲し怯みを狙う。

「…。」

 しかしながら脇腹に付着するだけで、怯みを誘発することは出来ず、そのまま突き進んできた。

(木の実じゃダメな感じか〜)

 杖の一撃を紙一重で躱し、相手の足を目掛けて刺撃スティングを発動。

 直撃こそ与えることは出来なかったが、僅かに表皮を斬り裂くことに成功。出血状態を付与する。

(先ずは一撃)

 反撃とばかりに振られた杖は、ヤオが腕を押さえ込むことで中断され、足を絡められた狼人は転倒した。

「グッ!」

 転倒後、脇腹に付着したトゲトゲの木の実がめり込み、狼人はうめき声を漏らす。

(なるほど、そういうね―――ッ!)

 光明得たり、と追撃を行おうとしたヤオだったが、狼人の杖に星の光が反射したことを確認し、距離を取る。

 音もない静寂の一撃は、周囲の木々を薙ぎ倒し、ゆらりと立ち上がっては鼻と耳を動かし、ヤオの位置を確かめた。

「やはり仕込み杖。いい趣味だと思うよ」

(めっっちゃカッコいい!!…?)

 興奮気味のヤオは、嗅覚を刺激する鉄の香りに、身体が高揚する感覚を覚えた。


>状態付与:血探ブラッド・パースート

>状態付与:高揚


(吸血種の影響かな?リアルだったらあんまり好きじゃない匂いだけど、影足族の特性なのかな?きひっ)

「くはははっ、…いくぞ!」

 死角を縫うように移動する狼人を、血液の香りで感じ取り、急接近してくれば距離を置き攻撃を回避。

 数度攻撃を振ったあと、確定で隙が発生する事を確認し、次の攻撃を待つ。

(いち、にっ、と…ここ!)

 杖を振り抜き、脇を晒した瞬間に、ヤオは懐へ入りこみ刺撃を使用し、脇腹を抉った。

 とはいえ、相手はボスモンスター。

 一撃程度で落ちるはずもなく、ヤオへ肘打ちをし反撃。距離を置こうと体重を動かす瞬間を逃さず、仕込み杖の刃で胴を切り裂いた。


>HP 3/175


>スキル発動:リジェネ


(やっば、首の皮一枚じゃん!でも、さっきの一撃で狼人には怪我状態を付与できたし、…あの出血エフェクトは出血状態にもしたはず)

「ふぅー…、一撃も喰らわず、倒さねばなぁ!」

「ぐるる…」

 逃げ回っていれば相手のHPは削れ、楽にトドメをさせるだろう。

 だがヤオはそんな無粋な真似はしない。強敵と認めた相手を堪能するために、果敢に攻め入る。


 まるでダンスでも踊っているかのような、ナイフと仕込み杖の攻防戦。時折投擲される小石は、トゲトゲの木の実が付着した場所や、振られる仕込み杖へと命中し、的確に攻撃の妨害が行われる。

 しかし、ヤオの攻撃は狼人によって切り落とされ有効打は得られず、膠着状態となっていた。

 だがそれは、怪我と出血の状態異常で狼人を憔悴させることとなり、

(グラついた、今!)

 ヤオの刺撃は、狼人の胸へと突き刺さり、膝から崩れ落ちた。

「悪いね、こんな結末で」

「…。」

(何考えてるかはさっぱりだね。ただのボスモンスターって言っちゃえばそれまでだけど、こうして死合った仲だし)

 情といったところか。ヤオが狼人を地面に横たえると、震える腕で仕込み杖を押し付けられた。

「いただけるのか?」

「…。」

 光なき狼人からの返答はなく、静かに霧散して消えていった。


>獲得:狼人ろうにん杖剣あし


>状態解除:高揚


[ ログ ]


>種族スキルを獲得:血探ブラッド・パースート

 血液の匂いを感じ取り、視界の外でも追うことができる。高揚状態を付与する。


>状態:高揚

 一定時間、被ダメージと与ダメージを増加する。


―――


「はぁ〜、強かった〜…」

 大の字になって仰向けに倒れたヤオは、木々の間から漏れ差す星々の光を眺めながら、ほてった感情を落ち着ける。

(とりあえずHP回復するまで、ジャーナルと仕込み杖の確認でもしとこ)


光なき狼人ブラインド・ファング LV10

 無二の宿敵ユニークモンスター

 [ジャーナル閲覧条件達成]

 光を欠いた者の前にのみ現れる孤高の獣。

 光を失い、群れから捨てられてもなお、諦めることなく足掻き、化け狼へと変貌した存在。

 極められた武技は、同類と見做された光を欠いた者への挑戦へと充てられ、普段は何処かの森林でひっそりと鍛錬に打ち込む。

 確認されること自体が稀なため、生態は掴めていないが、個体ごとに用いる武器が異なる。

 『戦争で片目を失って以来、妙な狼を見かけるんだ。…あいつは俺と戦いたがっている、絶対に。……帰ってこなかったら、家族のことを頼む』


狼人ろうにん杖剣あし

 適応ステータス:器用>敏捷

 装備条件:視界不良

 納刀時は打撃属性、抜刀時は斬撃属性となる。

 精神に作用するデバフを無効化する。

 『…。(狼の息遣いが聞こえる)』


(狼人は視界を制限しているプレイヤーの前に現れる、ユニークモンスター的な感じで。仕込み杖は…記念品かな?刺撃スティングの事を考えると、仕込み杖の熟練度を上げることで、スキルを獲得できるはずだけど)

 一度自身に装備してから、僅かだけ刃を見せ、ヤオは考え込む。

(渋いオッサンが仕込み杖で戦う、…全然あり。ステータスの適正自体は器用の方が高いけど、サブに敏捷があるし上手く調整してこうかな)

 僅かにHPが回復し、熱りも収まったところで、彼女は飛び起き街へと戻る。


―――


[ 幕間 ]


>フレンド申請:ソロマリー

>承認


(ボス攻略が終わった感じかな?)

 マリソルからのフレンド申請を承認すると、チャットアプリにテキストチャットが届く。


 マリソル

〈そんなに時間は経ってないけど順調?〉


 ヤオ

〈もちろん! :P 〉

〈光なき狼人っていうボスを倒したよ〉


 マリソル

 …入力中

〈やっぱりそいつと出会ったんだ!〉

〈ドロップした武器はめちゃレアだから、店売りはダメだぞ!〉


 ヤオ

〈レアなんだ!ラッキー! =3 〉

〈ドロップしたのは仕込み杖だったよ〉

〈…画像送信〉


 マリソル

〈 XD 〉

〈明日遊ぶ時によく見せて!〉


 ヤオ

〈いいよ!〉

〈もう寝る感じ?〉


 マリソル

 …入力中

〈うん!夜更かしは美肌の天敵だ!〉

〈ヤオもほどほどに!〉

〈おやすみ! <3 〉


 ヤオ

〈おやすみ <3 〉


 ちょっとした記念品くらいに思っていた武器。

 それを、やり込んでいるプレイヤーであるマリソルが、レアだと語る代物だと理解し、ヤオは「狼人の杖剣」への見方を変えた。

(大事にしよっと)

 現金なものである。


―――


[ アメリカリージョン・カリフォルニア ]

 マリソルこと、マリソル・アギラルは長身の女性だ。

 ショートの金髪を軽く揺らしながら下着姿のまま部屋を歩き、簡易ヘルススキャンを行いながらベッドへと腰を下ろす。

(異常はなしの健康そのもの。よし)

 ヤオのゲーム仲間であるマリソルは、アッシュズ・オブ・トワイライトの新情報がないかを確かめる。

 両目の網膜ディスプレイには、SNSの公式アカウントが表記されており、近日開催予定のイベントの告知がされていた。


 ――アッシュズ・オブ・トワイライト、とは。

 サービス開始から1ヶ月の大人気ダイブ型ゲームで、本作の売りは感覚フルダイブに対応した初のVRMMOだということ。

 フルダイブに関しては、VRスポーツ分野で活用されてきていたのだが、大衆向けのゲームとして用いられるのは稀で、出てもオフラインゲームのみ。

 それ故に期待が高まり、多くのユーザーが最新の接続インプラントを移植し、コンソールを購入し遊んでいる。


(イベントはヤオと遊びてえなぁー。参加条件はレベル5からだし、今日中に達成するはず、ダイブ型アクションゲームは好きだから続けてくれる、よな!うん!)

 他のゲームで撮影したスクリーンショットを確認するも、マリソルと一緒に写っているのは癖のあるオジさんなキャラクター。

「はぁ…。何でオッサンなんだよ。リアルベースでキャラクリしてくれれば、色々なコスを着せて楽しめるのにさ〜」

 軽く愚痴を呟きながら、オフで会った際に撮影したツーショットを眺めれば、可愛らしい相貌のヤオがおり頬を緩める。

(この一ヶ月、マージで退屈だった…。フルダイブ対応コンソールの発注不備ってさぁ…)

 サービス開始から、二人で突っ走ろうと話し合っていたのだが…。前々日に、落ち込んだ声色で告げられたのは、発注ミスと到着に一ヶ月遅れるとい旨。

 マリソルも1ヶ月待って始めよう提案したのだが。

『いや、流石に期待の新作を、私に合わせて待ってもらうのはちょっと…』

 などと断られ、試験勉強に集中するため、テキストチャットのみのやり取りになってしまったのだ。

(それも今日まで!ヤオは夏休みだって話だし、目一杯遊ぶぞ!)

 明日はどれだけ遊べるかと、アメリカとジャパンの時計をディスプレイに表示し、マリソルは考え込んだ。

(……時間を合わせるの大変だし、ジャパンリージョンに移ろうかな。パスポートの期限は問題なし、ビザも必要ない。全然アリ!)

 コンシェルジュアプリに必要な情報を投げ、飛行機やホテルの確保を行わせてから、ベッドへと身体を預けSNSを眺めてゆったりと過ごす。

[F1SHH4T3R、新曲発表!]

(ヤオの推しシンガーの新曲じゃん、メッセージ入れとこ)

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