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第11話 優しくしないで

「…知ってて無視するの?」


「お前は俺に野郎とヤレってのか?」


「そういう訳じゃ…!」


「そうだろーがよ!


良いから俺にもキスさせろ。」


「何でそーなるんですかっ!?」


「…いや、お前からしろ。」


「えっ…!?」


思わぬ展開に顔が一気に熱くなる。


「俺の…

俺だけのオモチャだっていう証拠を見せろよ…


シャブ打たれて、廃人になりたいか?ぁん?」


暁さんは、ソファに座り私を引き寄せる。

けれど、そこからは私の瞳じっとを覗き込むだけで、キスしようとしない。


えぇーい!

女は度胸よ!


私は唇をそっと暁さんの唇に合わせる。


だが、そこから…


彼は私の口を自身の唇で開かせ、ねっとりとした舌を入れ込んで、口内をまさぐった。


「ん…ふぅ…」


私の口からは僅かに喘ぎ声が溢れる。


あの甘い香りが、私の本能を鈍らせる。

脳からは、ここから逃げろ、ソイツは危険だ、と指令が出ているにも関わらず、私は甘い香りのする彼から離れる事は出来ないでいた。


食虫花の蜜に虫たちが集まり、捕らえられるように、私もまた、暁さんの身体の芯が甘く疼くようなキスに捕らえられていた。


暁さんは、5分いや、10分後、私を離すと、蕩けきった私の顔を見て、満足そうに微笑んだ。


そして、耳元で囁いた。


「お前は俺のものだ。」


と。


そして、鼻歌混じりに水を取りにキッチンに行った。


私は呼吸を整えて、あの甘い香りのキスを忘れようと努力した。


「なんだよ、足りなかったか?」


クスクスと笑いながら、暁さんは私の黒髪を撫でた。


やめて…

優しくしないで…


もっとひどく…


イッソノコト…オカシテクレタラ…ニクメルノニ…













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