私はナポリタンを食べながら、じっと暁さんを見る。
暁さんは、しょうがなさげに、電話の内容を私に話した。
「俺や神桜は華栄会に属しているんだが…」
華栄会!?
華栄会といえば、天雷会と社会を二等分する日本で最も大きな組だ…
え、じゃあ、暁さんはそのNo.2って事…?
だ…よ…ね…
「どこから話せばいいのか…
華栄会には、若頭が5人いる。
その内の1
集まるのは、ヤクザばかりだが…
その八雲がお前にも招待状を出すと言っている。
八雲が仕切るのは、夏の"向日葵の会"だ。
…どうする?」
暁さんは、珍しく心配そうな面持ちで尋ねた。
「行く!」
「即答かよ…
あのな、ヤクザばっかりなんだぞ?」
「だから、行くってば。」
「…分かった。
そう返事をしとく。
気が変わったらいつでも止めていいんだぞ?」
「分かった。」
私はそう答えた。
別に、軽い気持ちで言った訳じゃ無い。
ただ、彼がどんな世界を背負っているのか、知りたかった。
もっと知りたい、暁さんの事…
そう思うのは、暁さんを好きだから…?
多分、そうだと思う。
だけど、その時の私は分かってなかった。
知らない方が幸せな事もあるってこと…
暁さんが、おそらく八雲さんに電話している。
「あぁ、八雲か?
夜宵も連れて行く。
本人が行きたいとさ。
警備は厳重なんだろうな?」
暁さんがいつもより僅かに低い声で電話をしている。
「はぁ?
なんだそりゃ???
…分かったよ。
伝えておく。」
暁さんは、すっとんきょうな声で何かを聞き返した。
そして、電話は切られた。