桜庭ゆきのじょう・アステリズム
恋愛現代恋愛
2025年09月22日
公開日
7.9万字
完結済
嵯峨雪音は東京の私立クリニックで破水し、38週にして緊急帝王切開に臨む。だが手術室に現れた麻酔科医は、八ヶ月前に別れた恋人――篠原言真だった。無影灯の下、彼は低く囁く。「この子、俺の子だろう?」雪音は必死に否定するが、彼の疑念は消えない。
手術は成功し、男児は産声を上げる。だが後日、DNA鑑定が届く。〈99.9999%〉という数字が、雪音の沈黙を一瞬で打ち砕いた。隠されてきた真実は、もはや覆い隠せない。
さらに事態を揺さぶるように、「婚約者」を名乗る藤堂美弦が現れる。篠原家と藤堂家の思惑、そして雪音の父の過去に絡む“白河系”の影が、一気に彼女の前に立ちふさがる。
母と姉は雪音を守ろうと奔走し、言真も「父として、男として」退かぬ決意を固める。しかし――この愛は本当に「蓄えられてきた運命」なのか、それとも誰かの罠なのか。
親権、家族の確執、そして過去の因縁が絡み合う中、雪音が最後に選ぶ答えはまだ誰にもわからない……。