ディメンション・ウォーカー ~画面の向こうの君に~
オテテヤワラカカニ
SF空想科学
2025年10月01日
公開日
1.4万字
連載中
高校生の天野蒼(アオ)は、AR(拡張現実)技術が日常に溶け込んだ騒がしい世界で、一人静かに本を読むことを好む少年だった。
しかし、活発な幼馴染・星野陽菜(ハル)に強引に誘われ、大人気スマホARゲーム『ディメンション・ウォーカー』を渋々始めることになる。
最初は乗り気でなかったアオだが、ゲーム内で生成したARペット『ピック』との出会いをきっかけに、その世界に少しずつ心を開いていく。ハルに導かれ、初めてARモンスターを倒した時の高揚感は、アオにとって新鮮な体験だった。
ゲームに慣れてきたある日の放課後、二人はレアアイテムが眠るという街外れの古い神社へと足を運ぶ。しかし、静まり返った夕暮れの境内で、アオのスマホだけが奇妙なノイズを発し始める。
そして彼は見てしまう──他の誰にも見えない、黒く歪んだ人影が鳥居の陰を滑るように横切るのを。
ハルには「気のせいだ」と一蹴され、自分だけが世界の“バグ”を目撃してしまったという孤立感に苛まれるアオ。あの人影は何だったのか? スマホに一瞬だけ映った「4...2...」という数字の意味とは?
真実を求め、アオは一人、静かにAR世界の裏側へと続く扉を開く決意をする。