雲雀
恋愛現代恋愛
2025年10月17日
公開日
14.3万字
連載中
結婚前日、依音は匿名のメッセージを受け取り、婚約者が別の女と絡み合う姿を目撃した。
「ただの遊びだよ。妻はお前だけだ。」
長年の忍耐の果てに返ってきたのは、身を裂くような屈辱。彼女は指輪を外し、冷笑して祝福した。
「お似合いよ、地獄の果てまで一緒にいれば?」
翌日、彼女は同じく結婚登録をすっぽかされた男と出会う。
それは、かつて青春のすべてを捧げて密かに想い続けた、あの男だった。
衝動のままに彼女は顔を上げて言う。
「いっそ……私たち、結婚しませんか?」
結婚後——
元婚約者は怒り狂い、「兄貴が君を愛するわけがない」と嘲笑う。
双子の妹は涙ながらに訴える。
「お姉ちゃん、自分を貶めないで」
両親は祖母の治療費を盾に脅す。
「離婚しなければ、親子の縁を切る!」
そして後に、依音は知る。
すべては——あの男の、緻密に張り巡らされた罠だったのだと。
ただひとつの目的のために。
彼女を、この腕に抱きしめるために。