招き猫
恋愛現代恋愛
2025年10月20日
公開日
3.9万字
連載中
青山愛莉の恋人・西塚亮太が誘拐された。
唯一、彼を救えるのは――亮太の叔父であり、どこか危うい魅力を放つ男・西塚悠人。
助けを求めて訪ねた愛莉に、悠人は冷たくも艶を帯びた声で言い放つ。
「割の悪い取引はしない。俺に頼る以上、代償は払ってもらう」
その眼差しは、彼女の心の奥まで見透かすようで、逃げ道を与えなかった。
震える唇を噛みしめ、愛莉はそれでも亮太を救うため、勇気を振り絞る。
「……分かりました。ただし、明日までに彼が無事に戻ること」
「約束しよう。俺は誠実な男だ」
その言葉を信じるしかなかった。
だが次の瞬間、悠人の腕が彼女を引き寄せ、温もりと共に全ての理性を奪っていく。
長い夜の果て、愛莉は知らなかった。
その一度の取引が、二度と抜け出せない運命の始まりになることを――。
翌日、亮太は無事に戻った。
けれど、愛莉の心はもう平穏には戻らない。
悠人の声が、再び彼女を縛りつける。
「俺が終わりと言うまで、逃がさない」