華族の娘を飼う契約を結んだが、愛の囚われは俺の方だった
Madoka
恋愛現代恋愛
2025年10月27日
公開日
4.7万字
連載中
運命は、憎しみで結ばれても――。
華族の令嬢、桜は、没落した実家の負債の担保として、敵である商会主・黒羽蓮に嫁ぐことになった。彼は過去の因縁から藤原家を激しく憎んでいた。花嫁として迎えられたのは、監視の目が光る豪奢な屋敷。それは婚礼ではなく、屈辱的な「虜」としての生活の始まりだった。
冷酷非情な夫・蓮。彼から向けられるのは、言葉の刃と冷たい視線のみ。桜は華やかな牢獄の中で、息を殺して生き延びる日々を送る。しかし、そんな彼女の前に、蓮は時折、不可解な行動を見せる。病に伏した彼女を密かに看護する夜。雪の降り積もる庭に、無造作に置かれた一輪の梅。それは復讐を超えた何かの兆しなのか――。
やがて、蓮の商会が大きな危機に襲われる。外敵の脅威に二人は否応なく運命を共にし、固い氷のように閉ざされていた蓮の心に、ゆっくりと亀裂が入り始める。憎悪と憐憫、拒絶と依存。交錯する感情の中で、二人はお互いの過去の傷と真実に向き合うことを迫られるのだった。
敵同士として結ばれた縁は、やがて、深く激しい愛へと変わるのか。それとも、破滅へと沈んでいくのか。戦前・戦中の激動の京都を舞台に、憎しみを超えた絆を描く、切なくも美しいラブストーリー。