心の隅の鬼
BL現代BL
2025年11月04日
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！重要 重要 重要！
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十世の功徳を積み、ようやく責任と束縛から解放され、自由な生活を手に入れる──はずだった。
だが、現実は理想ほど甘くない。
チャイムが鳴り、ドアを開けたその瞬間、鬼尽心（キ・ジンシン）は悟った。
「……もう俺の人生、楽にはいかねぇな。」
「泊めてくれ。」
十代の少年は、痩せ細り、どこか儚げで哀れに見えた。
だが、鬼尽心はすぐに気づいた。彼の中には“もう一人”いる──。
「……何様のつもりだ？」
可愛らしい顔が、恐ろしい表情に歪む。
「俺を泊めない代償……払えると思うなよ？」
白目を剥き、死人のように青白い顔の少年。普通なら怯えるところだが、鬼尽心にとってはただの厄介事。
手を振り上げ、遠慮なく頭をはたいた。
「お前、自分が誰だと思ってんだ？ そして、俺が誰だと思ってる？」
「俺はもう千年以上も生きてる。この程度でビビるとでも？」
少年が手を伸ばすと、その指先はドアの縁に貼られたお札に触れ、焼かれるような痛みを受けた。
「その少年の命がどうなってもいいのか？」
鬼尽心は肩をすくめて答えた。
「それはお前の命だろ。俺のじゃない。知ったこっちゃねぇ。」
人と霊──互いに譲らず、押し問答が続く。
最終的に、鬼尽心の背後に控えていた“祖師霊”が口を開いた。
「……お前と彼には、縁がある。」
その一言が、すべての始まりだった。
自由気ままな人生なんて、大ウソだ。
でなければ、自分があんな極悪非道の霊と「縁がある」なんてありえない。
元・極悪霊──穆慈葉（ムー・ツーイエ）は、ただの悪霊ではなかった。
彼の一族・穆家は、代々善行を積む家系。
だがその“善良さ”ゆえ、ある日村ごと盗賊に襲われ、一族二十余名が虐殺された。
義診で外出していた分家だけが生き延び──それが穆慈葉の曾々祖父母である。
誰にも救われず、何百年も陽世を彷徨った彼は、
ついに「穆家の血筋」を継ぐ霊体共存体質の少年──楊誓言に出会う。
「体、ちょっと貸してくれない？」
こうして一人と一霊の「半陰半陽」な共同生活が始まった。
「……お前、人を殺したことある？」
「ない。
第1話：老鬼が頼みに来た
