結婚3年目に夫と女兄弟に捨てられ、次に選んだ男がまさかの王子様だった
倉耳
恋愛現代恋愛
2025年11月05日
公開日
2.1万字
連載中
智也と結婚して三年。
ゆいはようやく悟った――
自分は、彼と“女兄弟”のように親しい鈴音のあいだにいる、ただの部外者であり、滑稽な存在だったのだと。
鈴音に何かあれば、智也はいつも真っ先に駆けつける。
そんな彼がまたしてもゆいを置き去りにした日、
ゆいの心は静かに、そして完全に折れた。
――
ゆいはもう振り返らない。
自分の夢だった研究に戻り、
失われた文明の光を世に蘇らせた。
祝賀パーティーの夜、彼女は誰よりも輝いていた。
祝福の声が響くなか、ただ一人、智也だけが片膝をついて彼女に懇願する。
「ゆい、俺が悪かった……お願いだ、もう一度だけ俺を見てくれ。」
ゆいがそっと一歩下がったその瞬間、
会場のざわめきを断ち切るように、
噂の“誰もが手の届かない御曹司”が彼女の腰を抱き寄せ、堂々と宣言した。
「悪いが、彼女は結婚する。――俺とだ。」