流産の夜に よその女に付き添った元夫さん、 私の結婚式でなに泣いてんの?
お日見
恋愛結婚生活
2025年11月05日
公開日
1.9万字
連載中
かつて早苗は、愛さえあればどんな困難も乗り越えられると信じていた。
けれど、やがて気づいてしまった――夫・古賀俊介の愛は、自分ひとりに向けられたものではなかったのだと。
中地清華のせいで職を失ったとき、俊介はこう言った。
「清華はまだ若い。将来を台無しにするわけにはいかないが、君は、専業主婦になるのも悪くないだろう?」
古賀家が認めたのは清華ただ一人で、早苗が嘲笑の的となっても、俊介は冷たく言い放った。
「清華は母さんの命の恩人だ。悪いのは……母さんに気に入られなかった君の方だろう」
そして――清華に車で轢かれ、流産したあの夜。
俊介は清華の腕を取り、夜空に咲く大輪の花火を見上げながら、無情に言った。
「子どもはまた作ればいい。でも、清華に何かあったら取り返しがつかない」
その夜、早苗は命を落としかけ、かつて俊介を愛した心も完全に死んだ。
……後に人々は言う。「愛妻家の古賀さんはあの夜、妻を失ってからは魂の抜けた人間のようだった」と。
だが――あるパーティーで、俊介は亡き妻によく似た女性を見つける。
思わず駆け寄ろうとしたその瞬間、一人の男が立ちふさがった。
その男は圧倒的な存在感を放ちながら、低く冷ややかに言い放つ。
「彼女は俺の妻だ。そして……お前の叔母でもある。――もう二度と、その目で彼女を見るな。」