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「ふつうの結婚」を拒んだら、元エリート官僚にストーキングされました
「ふつうの結婚」を拒んだら、元エリート官僚にストーキングされました
ゆか かみふじ
恋愛現代恋愛
2025年11月11日
公開日
10.8万字
完結済
東京の文化庁でキャリアを積む高橋湊は、合理と効率を重んじる生粋の官僚エリートだ。ある日、京都の老舗旅館「藤乃舍」への補助金審査の任を負って現地へ赴いた彼は、その女将・吉村凛との出会いで、人生が大きく狂い始める。 時間にルーズで、彼の大切にする「規則」をことごとく軽んじるように見える凛。しかし、彼女の姿には、京都という街が育んできた「あはれ」や「粋」という、湊の価値観では計り知れない深みがあった。反発しつつも惹かれていく二人。湊は離婚した過去があり、凛は実家の旅館を守ることに必死だった。すれ違う想い、すれ違う価値観。 「俺と結婚してほしい」。清水の舞台で、湊は覚悟を決めて告げた。しかし、凛の口から返ってきたのは、「私たち…やっぱり違う世界の人です」という拒絶の言葉だった。 傷つき、東京へ戻った湊だったが、彼女のことを忘れられない。そして、凛が旅館の存続の危機に陥っていることを知る。規則を破り、私情を挟み、エリートとしてのプライドを捨ててでも、彼女を助けたい―。しかし、彼の思いは簡単には伝わらない。凛の心には、湊や東京という世界へのコンプレックスと、結婚への恐怖心が深く根付いていた。 “追いかけている”のは湊なのに、試練を味わうのも湊。はたして、異なる価値観を持つ二人は、お互いを理解し、たった一つの答えを見つけ出すことはできるのか―。

第一話 初夏の驟雨の中の課長

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