婚約者が別れを後悔した時、私は彼の叔父の腕の中にいた
宇宙カピバラ
恋愛現代恋愛
2025年11月14日
公開日
5.6万字
完結済
11月22日、約束した入籍の日。
雨宮遥は一人で区役所の前に立っている。
しかし彼女が受け取ったのは、彼からの一本の電話だけだ。
「ちょっと用事ができた。また今度にしよう」
電話の向こうからは、彼が面倒を見ている妹の声が聞こえてきた。
「慎一郎、早く来て〜」
その瞬間、彼女は悟った。
五年の恋愛でも、自分は一度も「第一順位」ではなかったのだと。
彼女は迷いなくその場を去った。
──その後。
慎一郎は狂ったように復縁を求めてきたが、
彼女は波ひとつ立てずに拒絶した。
慎一郎は彼女が叔父と一緒にいるのを見て崩れ落ちるように問い詰め、結婚式では遠くから祝福の言葉を送った。
その瞳には深い後悔が滲んでいる。
だが彼女は、もうとっくに気にしていない。
五年間、彼女をずっと待ってくれた人がいる。
彼女に関する細かなことまですべて覚えてくれる人がいる。
彼女を「生涯唯一」として大切にしてくれる人がいる。
今度こそ、彼女は正しい人を選んだのだ。
その人こそ──慎一郎の叔父だった。