中絶を強いられた後、私は元夫の宿敵――車椅子に乗った彼――と結婚した
宇宙カピバラ
恋愛結婚生活
2025年11月19日
公開日
3.3万字
連載中
宮野遥は神宮寺凛と結婚して三年、一度たりとも優しい眼差しを向けられたことはなかった。
彼女が嬉しそうに妊娠を告げたとき、返ってきたのは冷酷な宣告だった――
「中絶しろ。お前に俺の子を産む資格はない。」
手術台で大量出血し、彼女は生死の境をさまよった。
目を覚ましたとき告げられたのは――一生子どもを産めないという事実。
その瞬間、彼女はようやく悟った。
この男は最初から一度も自分を愛していなかったのだと。
離婚の日、彼は彼女が“焦らしている”だけだと思っていた。
一か月後、彼は焦り始めた。
三か月後、彼は狂いそうになっていた。
彼女は本当に彼を愛さなくなり、しかも彼女のそばには別の男がいた――
車椅子に座りながらも、彼女に“世界そのもの”を与えてくれる男が。
彼女を自分の手で突き放したとき、
まさかいつか本当に失う日が来るとは夢にも思わなかった。
彼がようやく彼女の大切さに気づいたとき、
彼女はすでに別の男の腕の中で、幸せそうに微笑んでいた。