契約結婚して五年、流産して離婚したその日に、元夫の御曹司の友人がプロポーズしてきた
Momoka
恋愛結婚生活
2025年11月20日
公開日
4.8万字
完結済
五年の契約結婚。桜庭雪穂は、神宮寺家が年長者の目をごまかすために用意した“代役の妻”だった。
彼は彼女に冷たく接し、「自分の立場を忘れるな」と言い放つ。
初恋の人が帰国した夜、彼は一晩中帰ってこなかった。
妊娠三ヶ月、彼にサプライズを伝えようとしていた雪穂。
しかし流産したその夜、彼女は彼のSNSに“初恋の人の歓迎会”の写真が上がっているのを見てしまう。
血だまりの中、彼女は自ら救急車を呼んだ。
彼の携帯は“初恋の人に付き添っていた”ため、ずっとマナーモードのままだった。
その晩、彼女は子どもも、この結婚への最後の希望も失った。
「神宮寺さん、離婚しましょう」
契約が満了すると、彼女は何も持たずに家を去った。
彼は、彼女が泣きながら復縁を求めに来ると思っていた。
ところが彼の想像に反して、彼女はあっさりと——
宮本賢也と結婚した。
彼のビジネス上のライバルであり、かつて最も信頼していた友人でもあった男。
宮本はXで堂々と宣言する。
「彼女は、十五年間待ち続けた女性だ」
元夫は崩れ落ちる。
「ちょっと待て、いつから彼女のことを……?」
その後——
彼は商戦で連敗し、他の男の腕に寄り添って微笑む彼女を見つめるしかなかった。
彼はようやく悟る。
——一度失えば、もう二度と戻らない人がいるのだと。
そして彼女は、もう決して振り返らなかった。